太いメタルポストの入った臼歯の感染根管治療

再根管治療をする際には殆どの場合何らかの除去という行為が伴います。最も難易度が高いのは破折ファイルの除去ですが、ゲンナリするのが太くて長いメタルコアです。

下の写真は全て除去専用の器具です。

ただ今回のコア除去は下手に力を掛けると歯根破折を起こしそうだったので削り取りました。歯は全く削っていません。この状況で歯を削ったらすぐにパーフォレーションです。
この歯の根管治療は3度目だそうですがおそらくその度に削られていったのでしょう。そしてサイナストラクトが再発して抜歯の宣告をされて藁にすがる思いで来院されるというパターンです。

基本的に根管の内側は削ってはいけません。そこは歯質が薄いのでパーフォレーションを起こします。そして特に近心根においてはそこを削っても根管の湾曲を修正できません。全く無意味な切削です。

では動画をご覧下さい。

治療後放置された歯

根管治療後、長期間放置されていた歯の内部は崩壊が進んでいました。これっていちばん歯がダメになるパターンです。

赤い円の中は軟化象牙質が広がっています。外側のエナメル質は崩壊しづらいのでまだ大丈夫だと思っていると手遅れになることがあります。なんとか保存できました。それにしても前医の根管治療はとても上手です!

う蝕検知液で何度も染めて少しずつ削るということを繰り返します。時間が掛かる治療です。

歯の内部を選択的に削るのは奥歯ではミラーテクニックができないと不可能です。こういった地味な仕事の積み重ねが重要なのです。

この後ファイバーポストを立てて治療時間は約70分でした。外科処置が必要になる可能性を説明して治療に入りましたが回避できました。

神経障害性疼痛関連歯科学会合同シンポジウム2019

口腔顔面領域の疼痛にはいろいろなものがあります。昨日はそのセミナーでした。何年か前に受講した非歯原性疼痛のセミナーが面白かったので今回も受講しました。私の臨床に繋がる内容ではなかったのですがもちろん勉強にはなりました。

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神経障害性疼痛

口腔顔面痛