学校歯科健診の限界

私自身も校医をしています。コロナ騒ぎで延期になっていましたが無事今年の健診を終えました。私はルーペとルーペにマウントされた強力なライトを使用して健診を行っています。これでも裸眼に普通のライトと比べれば格段の差が出ます。

しかし写真のようなむし歯を確実に発見できていると自信を持って言い切ることはできません。この写真は歯科用のユニット(診療台)に寝せて専用のブラシを使って注水下で表面の汚れを落としてみたら見つかったので撮影しました。撮影までの所要時間は15分程度だと思います。ピンポイントですが深さがあるむし歯です。学校歯科健診はブラシもユニットも使えずそんなに時間も掛けられませんからこういったむし歯を発見するのはかなり難しいと思います。むし歯の穴にはプラークが溜まっていて取り除かないと見えません。

この学生さんは健診ではむし歯はゼロと言われていたそうです。私が健診を行ってもおそらく一本は見逃していたと思います。一般的な学校健診では健診で発見できるような大きさのむし歯の有無が解るだけです。過信はしないで下さい。

ただし中には公衆衛生活動に真摯に取り組み、精度の高い健診を行っている歯科医師もいると思いますので、全てに当てはまるわけではありません。そのような歯科医師の名誉のために書き加えておきます。

歯の削除量と修復物

ホームページに掲載していた10年以上前のかなり古いケースです。書き換えのためこちらに移行します。

歯と歯の間にできたむし歯

青丸の部分です。

CERECでもメタルインレーでもハイブリッドでも、この程度は削らないと治すことができません。口の外で作って、歯に接着するという手法をとる限り、大なり小なり歯の健康な部分を削る必要があります。

ダイレクトボンディングは、削除量という点では、他の方法より圧倒的に優れています。悪いところだけ削って、詰めることが可能です。むし歯治療の第一選択はダイレクトボンディングです。大きく削る治療はできるだけ避けたいものです。

遊離歯肉移植術(FGG)

ホームページに掲載していた古いケースです。書き換えのためこちらに移行します。

歯の周囲の付着歯肉と呼ばれる部位はホッペタを引っ張ったりしても動きません。一方可動粘膜(遊離歯肉)は頬を引っ張ればいっしょに動いてきます。インプラントの周囲の歯肉が可動であることはあまり歓迎されることではありません。天然歯においても同様です。

このような場合に行われる歯周形成外科は、遊離歯肉移植術(free gingival graft. FGG)というものです。口蓋からこのように上皮付きで移植歯肉を採取します。

移植片を縫合したところ。

口蓋採取部。一週間ほどで日常生活に支障のない程度まで回復しています。

術後。