大きな病変のある樋状根のような上顎7番の感染根管治療

このケースです。

インレイを外すと覆罩されており、それを外すと髄腔に達しました。未処置の感染根管です。

CT画像です。クリックすると拡大されます。樋状根とタウロドントのミックスのような形です。

根尖孔は大きく開いており、かつ複雑な形態が予測されます。
サイナストラクトは口蓋側にあり、押すと排膿します。

一回目の治療後、動揺はかなり収まり不快症状も解消しましたが、サイナストラクトは消失していません。二回目の治療で根管内の水酸化カルシウムを除去して根尖を突くとまだ根尖孔から根管内への排膿がありました。三回目で根尖から出血を促してMTAで根管充填。

三ヶ月ほど経過を診て、治癒に向かわないようならエンドサージェリーですが、実際の所は殆ど外科に移行することはありません。

根管洗浄

マイクロスコープを臨床に導入して感染根管を初めて見た時は衝撃的でした。汚いんです。根管を英語でRoot Canalと言うのですが、Canalは一般的には運河のことです。しかし運河と言うよりは詰まって汚れた排水管です。汚いんです。

ドブ掃除をする時は、まずゴミや泥を掬いますが、水が流れていると細かい泥も流れて綺麗になります。仕上げに洗い流すことができるとできないでは綺麗さは大違いです。今回は例えも汚いんです。

根管拡大の器具はどんどん新しい物が開発されていますが、根管洗浄は私の知る限りあまり変わり栄えしません。私の臨床でも洗浄方法はここ何年も変わっていませんでした。NaOClとEDTAでこのチップでアコースティックストリーミングとかキャビテーションとかを利用して洗浄して、最後に注水して流水で洗浄というパターンです。

 

そこに久々の新機材導入です。これ自体は新しい物ではないのですが、ある有名なエンドの臨床家が推薦していたのです。たった一つの機材が重かった臨床の扉を開いてくれたことが何度もあって、それは実際に自分で使ってみて確かめるしかありません。

日本では売っていないので、アメリカから輸入しました。それなりにコストを掛けたであろうパッケージの中から現れたこれは、開けてビックリあまりにちゃちい。百均でも売ってそうなレベルです。機械的にも内部で小さなモーターが回っているだけだろうなという印象。にもかかわらず信じられない強気なお値段で、これは売れないだろうなと思わせるオーラに満ち溢れています。

が、このチップは底知れない可能性を予感させます。ただの予感ですが・・・

 

 

 

 

 

 

フェネストレーション

正常な歯は図のように歯根全体が骨に埋まっています。

ところが根尖が図のように骨から飛び出ていることがあります。病気ではありません。これをフェネストレーションと言います。

それ自体は問題ないのですが、この歯に根管治療を施すと、違和感がある、噛めない、痛い、等の不快症状が消えないことがあります。

そうなってしまった場合は通常の歯内療法では治りません。歯根端切除術で骨の外に出ている部分を切除するしかありません。

外科的歯内療法は通常は治らない病変に対して行われる処置ですが、これはそれとは目的が少し違っています。ただし、術式は同じです。動画だと大変な処置のように見えるかも知れませんが、写っている骨の穴の直径は5mm程度です。術後に腫れるようなことも殆どありません。マイクロスコープを使用した外科的歯内療法(マイクロエンドサージェリー)の成功率は90%以上とされています。

フェネストレーションが原因で難治性根尖性歯周炎と診断された症例に対する処置:日本歯科保存学雑誌 / 55 巻 (2012) 1 号