抜髄

インレイを除去してみるとむし歯が広がっています。神経を取らないで済むように、小さなスプーンのような道具で慎重に軟化した象牙質を除去していきます。タービンは使いません。

 

 

すると神経が露出してしまいました(赤く見えるところ)。まだまだむし歯は残っているので、更に大きく穴が広がります。神経保存は諦めて、抜随することになりました。結果的に抜随に至るわけで、抜随ありきで治療に入る訳ではありません。強い痛みがあった歯で明らかに神経に達する穴を確認できた場合にはそうなりますが、痛みが無い歯では神経を抜くことになることは非常に希です。

抜髄と決まるまでが時間が掛かります。

 

上の写真から下の写真になるまでは5分程度です。タービンで削れば手用切削器具の100倍のスピードです。

というわけで、抜髄に至るまでの過程が大切だというまとまりのないお話しでした。

 

 

 

根管拡大

根管拡大は大きい方が根管内の細菌数減少に効果があるという研究が、Journal of Endodonticsに最近掲載されました。全文を読んでいるわけではありません。アブストラクトをネットで読んでいます。

写真は根尖病変の急性化で強い疼痛が出たケースです。この症例では拡大はステンレス手用ファイルの30番までです。約3年経過で不快症状もなく、病変もほぼ治癒しているように見えます。そもそもの根管が細かったので(08のファイルでネゴシエーション)30番で充分と思ったのですが、Journal of Endodonticsに依ればもうすこし拡大しないと洗浄効果が出ないようです。簡単に書けば、そもそもの太さが針のように細かったので、素麺程度に太くすれば綺麗になるだろうと思ったけど、そうでもないらしいということです。

歯科医師になりたての頃に選んだエンドの教科書は、とにかく大きく拡大することを推奨していたので、80番まで拡大して垂直加圧で根管充填していました。でも今の方が遥かに治療成績が良いです。見栄えのする根管充填後のレントゲン写真と治療成績はそれほど相関性は高くないということです。

抜髄では細菌を根管内に入れないこと。感染根管では根管内の細菌数を可能な限り減らすこと。これだけです。

初診時

 

根充後

 

2年後

 

3年後

 

 

 

石灰化した歯髄


歯髄に達するむし歯です。痛みもありますから神経を抜きます。上顎第一大臼歯ですから通常3根です。

 


赤い線は頰側根の歯髄腔ですが、青い円の中の口蓋根の歯髄腔(神経の入っている根の中の空洞)がよく見えません。

 


抜随すると口蓋根管の中からこんな歯髄が出てきました。生活歯髄です。半分石灰化してます。堅いです。

歯髄の石灰化については諸説あるようですが、これは第三象牙質(病的第二象牙質)なのだろうと思います。専門書にはスイスチーズ様の構造を示すと書かれていますが、スイスチーズの構造を知らない(笑)。

この症例ではこれがスポッと抜けてきたので治療がやりにくくなるという程のものでもなかったのですが、これが根管内に残っていると何故か電気根管長測定器が非常に不安定になります。