この症例の続きです。
赤い丸の中がパーフォレーション部位です。水酸化カルシウムを除去しMTAを充填します。充填後、サイナストラクトからガッタパーチャポイントを挿入してレントゲンを撮りました。サイナストラクトの原因はパーフォレーションだったことが確認できます。
とはいえ、メインの根管治療も行っておきます。
繰り返すようですが、このようなシビアなケースでは、どのような意思決定を行うかが重要です。
追記:16ヶ月後はこちらです。
最近出たばかりの書籍ですが、本物の専門医の症例には圧倒されます。
マイクロスコープを使用した臨床がメインコンテンツ。TEL 0246-36-5960
本来の根管を逸脱してファイルを操作して作ってしまったステップをレッジと言います。これが根尖近くにあると根管治療の難易度はとても高くなります。
赤い部分が本来の根管です。
ファイルを入れるとこのように進んで止まってしまいます。赤い部分を綺麗にできません。
ファイルを曲げて(プレカーブ)本来の根管を探していきます。この症例では08のファイルで穿通できたのですが、その後番手を上げるとなかなかレッジを超えることができず非常に苦労しました。動画のファイルは40番ですが、ここまでくるのに二回のアポイントが必要でした。180分です。
再根管治療は難しいです。まして本来の根管を壊していると難易度はとても高くなります。
サイナストラクトがある上顎前歯です。パーフォレーションが強く疑われるレントゲン像です。
根管治療はおそらく成功すると思いますが、問題はその後です。根尖病変を治すのと歯が長期にわたって機能する(長持ちする)のはまた別の問題で、根管治療が成功しても、歯そのものの強度を上げることはできません。それについての説明はとても重要で、その上で患者さんの意思決定を尊重します。費用対効果についてもよく考えていただきます。今回のそれはチャレンジでした。
誤解されないように書いておきますが、どんな症例にもチャレンジするということはありません。根管治療承諾書には結果を保証するものではありませんと明記していますが、さりとて高い確率で結果を出さないと、高いお金を払って治療をしようなんて思う人が居なくなります。
ファイバーコア除去の途中です。歯周組織の生物学を全く無視した形態でした。
こんなイメージ(笑)。
大部分のコアの除去が終わった画像です。向かって右側にパーフォレーションが疑われますから、少し歯質に厚みのある向かって左側から慎重に除去しています。メタルでもレジンでも何でもそうですが、コアの除去は歯を削らないでコアを選択的に削ります。コアと歯質の境目を狙って削ると、更に歯にダメージを与えることになるからです。
最終的には剥がすように除去します。
動画です。
ここまでの治療時間は約70分でした。
その2に続きます。