このケースの半年経過後。残念ながらサイナストラクトが再発しました。つまり再根管治療は失敗に終わりました。次なる手段は外科的歯内療法のうちの意図的再植術になるのですが、既にクラックがある歯なので抜歯時に完全破折する可能性が高いです。
治療に着手した際にクラックを発見し、患者さんに治療を中断してその顕微鏡動画を見ていただき治療を進めるかどうかの意思決定をしていただきました。その際に意図的再植術とその困難さもお話ししてあります。
患者さんはそれを良く理解しておられ状況をありのままに説明すると、きっぱりと爽やかに抜歯を選択されました。そういった意味では何のトラブルもないのです。
とは言え忸怩たる思いはあります。クラックのある歯を何本も救ってきました。その経験が私にバイアスを掛けていた可能性は否定できません。ではクラックがあったら抜歯宣告するのが正しいのか? 今度は今回の失敗が私にバイアスを掛けてきます。残せた歯を抜歯してしまうかもしれないのです。どうしていいのか解らない。
医療というものはかくも個人的なものでありエビデンスって何なんだろうと思う節分の前日でございます。
ファイバーポストの除去は難しい
この治療の保険での報酬は800円です。3割負担だと240円です。数分でやらないと赤字になります。私は30分程度掛かりました。
日本の歯科保険制度は善良な歯科医の良心を蝕んでいきます。
MM根(middle mesial canal)Confluent type
ChatGPTにお任せです。チェックはしています。
**MM根(Middle Mesial Root/Middle Mesial Canal)**とは、**下顎大臼歯(特に下顎第一大臼歯)の近心根内に存在する追加の根管(または独立根)**を指します。再根管治療や難治症例で見落とされやすく、治療成否に大きく関与します。
基本ポイント
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発生頻度:報告により差はありますが、下顎第一大臼歯で1–15%前後
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形態
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近心頬側(MB)と近心舌側(ML)の間に位置
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独立根管として根尖まで走行する場合と、途中で合流する場合がある
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臨床的意義:未処置のMM根管は治癒不全・再発の原因になりやすい
探索・診断のコツ
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CBCT:術前評価で非常に有用(特に再治療)
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マイクロスコープ:必須レベル
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髄床底の観察:MB–ML間の**溝(developmental groove)**を丁寧に追う
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超音波チップ:髄床底を最小限にトラフ形成
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染色(メチレンブルー):溝の視認性向上
形成・洗浄時の注意
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細い・湾曲が強いことが多い → #06–10の手用Kファイルから慎重に
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ストレートライン確保は最小限(穿孔リスク回避)
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**NaOCl活性化(超音波/ソニック)**で洗浄効率を補う
再根管治療での戦略
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既存MB/MLが正常でも、MM根管の見落としを必ず疑う
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旧充填材除去後、髄床底を再評価
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合流型の場合、作業長と根尖封鎖の確認を厳密に