総義歯(その6)

ここまできたら、この後決めなければならないのは上顎仲切歯の位置です。水平面をわかりやすくするために側切歯ぐらいまでは並べた方がベターです。ここまでは歯科医師の仕事です。そこが決まれば技工所サイドで歯を並べることができるようになります。奥歯の高さは模型上で決めることが可能なのです。

で、完成して装着したところまで話は一気に進みます。間に試適といって仮縫いのような作業をしてそこで見た目の確認をしています。見た目は結局はご本人が決めることで、歯科医師はそれをサポートするということになります。

上顎は口蓋部分に金属のプレートを使った金属床という構造で薄くて装着感に優れます。下顎は薄くする意味がありませんから補強として金属を使うことはありますが基本的にはレジン(プラスティック)です。このプラスティックに特殊な材料を使うことによって精密で強固な義歯を作ることができます。イボカップという加熱加圧精密重合システムです。

下顎粘膜面

プロフィール

このケースで治療費は約50万円です。

なお、木田歯科医院は4月から自由診療専門医院となります。保険での治療は行いません。

総義歯(その5)

咬合器に模型が付着されました。上下の位置関係は精密印象の際の仮のかみ合わせですから、この後、精密な咬み合わせを採り直します。そのために行うのがゴシックアーチトレーシングです。ゴシックアーチトレーサーを模型に付けるには咬合器上で行う必要があるため、仮の咬み合わせが必要だったわけです。

下顎にはこのようなピンがあります。このピンは長さが可変です。それによって咬み合わせの高さを調節範囲内で変えることができます。

上顎にはこのような板を付けます。

これを口の中に入れて咬んでもらいます。中心一点しか接触しないというのがミソです。そしてその位置をシリコンで記録します。

この咬み合わせを今まで使っていた「仮の咬み合わせ」と入れ替えます。具体的には下顎の模型を咬合器から外して付け直します。ここまでが私の技工です。この後咬合器は技工所に引き渡されます。

総義歯(その4)

総義歯(その3)

総義歯(その2)

総義歯(その1)

 

 

総義歯(その4)

下顎の精密印象です。ブルーのシリコン印象材の下をティッシュコンディショナーという材料で裏打ちしてあります。

凹んでいる所が「染谷のスジ」です。

上顎の印象。このケースではそのままフェイスボウトランスファーをしてしまいます。仮のバイト(噛み合わせの記録)も同時に採ってしまいます。閉口印象だからできることです。

フェイスボウトランスファーというのはこのような作業で、顎の関節と上顎の位置関係を咬合器上に再現するために行われます。

上顎は金属床義歯になる予定ですので、その為にもこんな作業をしておきます。精密印象とフェイスボウトランスファーを一回でやるとこの辺の作業は遥かに面倒になるのですが、患者さんの通院回数を2回少なくすることができます。来院回数を減らすことも患者利益です。

総義歯(その3)

総義歯(その2)

総義歯(その1)