セラミック治療の色合わせ

真ん中の前歯1本の治療には苦労します。色合わせが大変なのです。完璧に合うのは奇跡です。前歯6本いっぺんに治すなどという場合の方が遙かに簡単です。
右上が所謂差し歯。真ん中に隙間が空いてきて唇が引っかかるのを治したいとのことです。右上の歯の先が欠けているのでそこも修正して全体的にホワイトニングを行ってセラミッククラウンで治療することになりました。歯肉の黒いところはメタルタトゥーとよばれるものなのですが、今回はここは無理矢理唇をめくらないと見えないので無視です。除去するとなるとたぶんちょっと厄介です。

ホワイトニングと言えば最近になってホームホワイトニングの新しいキットが日本でも歯科医院向けに販売されるようになりました。従来のホームホワイトニングは歯科医院でマウスピースのようなものを作って行われていたのですが、それが必要なくなります。既成のもので行えます。これがどんなことを意味するかというと、やがて歯科医院を通さずに自分で購入してホワイトニングが可能になる時代が来るということです。そこに問題が無いのかといえば無くはないのでしょうが、それでもその流れはどんどん大きくなると思います。そもそもホワイトニングなんて誰でもできるような単純な処置なのでそれも宜なるかな、です。そのうちAmazonで購入できるようになると思います(笑)。

ホワイトニングを2クール。その後左上(画像では向かって右)をダイレクトボンディング。さらに右上の補綴物を交換しました。

動画です。

抜歯になってしまいました

外れちゃったものを着けてはもらったけどカクカクするし臭うのでなんとかしたい。というご希望です。むし歯が見えています。

X線像。プラスチックのクラウンを外すとコアを取り巻くむし歯が広がっていることが読像できます。歯根は先の方で肥大しています。

クラウンを外して歯根の状態を確認してから治療方針を決定することにしましたが、歯根の挺出を行って保存の可能性もあることをお話ししておきました。

除去後。

コアは接着しておらず挟まっていただけで簡単に外れました。カクカクしていたのはこの所為です。そして歯はボロボロになっています。

染色すると根管の奥の方までダメになっていることが解ります。ここで抜歯を提案しました。度々書いていますが抜歯には抜歯するに足る根拠が必要でそれをできる限り写真などを使って説明し納得していただくことが大切だと思っています。ちゃんと納得の上諦めていただく。引導を渡すとも言いますね😎

歯根の肥大があるため抜歯は苦労しました。歯根を割らないと抜けません。抜歯窩にはアテロコラーゲンを入れて縫合しました。抜いた両隣の歯が既に神経を抜いた状態ですし手前の歯は再治療をご希望ですのでこのケースはインプラントではなくブリッジで治すことを提案しました。

デジタル印象が可能なとき

歯肉縁下に形成が及んだ場合はデジタルは難しいと、ことあるごとに書いてきましたが、時には可能なこともあります。圧排糸で歯肉が少し下がってくれて形成限界がどの方向からも(横からでも縦からでも)見える場合にはデジタルだけで印象します。見えているわけですから圧排糸を抜かないで印象します。どの方向からも見えるというのが重要なんじゃないかと私は思っていて、現在のIOSはワンショットで撮っているわけではないので画像の合成をしていますから、情報の連続性が重要なのではないかと勝手に考えているのです。AIがそこをカバーしてはいるのでしょうが理想的には大きな情報量の連続があった方が良いに決まっています。

うちのご老体のCERECですと、なるべく少ないスキャンの枚数で3Dデータを構築するのが理想とされていたため、模型スキャンの際に模型にポイントを彫刻したりしていました。そこをデータの合成の基準点として認識させていたわけです。因みに口の中の直接スキャンは一切行っていませんでした。

デジタルは術者の稚拙な技術をカバーしてはくれません。むしろ術者がデジタルをカバーしなければならないのです。