前歯のブリッジ

このケースです。全体的な治療は次の段階に進んだ時に着手することにして、今回はここまでで終了です。それが患者さんの意思決定です。治療に介入した部位は、抜歯、歯周外科処置、根管治療とフルコースに近い治療でした。歯肉の移植だけはしていませんので、抜歯した部位の歯の長さが長くなっています。唇に隠れて見えませんが。

アナログ印象をデジタルスキャンで裏返し

通常のアナログ印象で石膏模型を作りロストワックスでゴールドクラウンを作ったケースです。ラボ(歯科技工所)から戻ってきたシリコン印象で実験をしてみました。

シリコン印象

カメラの被写界鮮度を稼ぐように印象をトリミングしてパウダリング。パウダーかけ過ぎなんですが確かに反射しづらくなるようです。パウダーは最近取引をさせて貰っている先進を行くラボに教わりました。

この印象を口腔内スキャナーでスキャンして裏から見たのが下の画像です。何の手も加えることなく標準のソフトで可能ですが、これを技工に活かすにはラボに対応できるだけの設備とそれを使いこなす技術が必要です。

これが何を意味するかというと、印象に石膏を注いでそれをスキャンするという手間と、それによる誤差を無くせるということです。そして更にデジタルデータをラボにネットで飛ばした後にアナログ印象を梱包して宅配便で送るという徒労感から解放されるのです。昔良くあったアレですよ。メール読んだか電話で確認するやつ。もっと言えばメールを読んだか確認のハガキを出すみたいなこと。

下の画像が直接口の中を実際にスキャンしたものですが、このレベルではお天道様が許しても私は許せません(怒)。IOSな人達は本当にデジタルだけでやれているのかなぁ? 私の技量不足なのかも知れませんからお叱りを受けそうですが・・・。

実際の技工物

前歯のブリッジの光学印象とスマイルデザイン

前歯のブリッジの光学印象をやってみました。圧排糸を入れた状態で光学印象しています。

良い感じにできたと思いました。

拡大してみます。

確認してみます。青い丸の中が残念。

かなり頑張ったのですが一部だけ撮れていませんでした。印象は失敗か成功かしかありません。100点満点の80点とかは無いのです。デジタルの場合はここだけスキャンし直しという手段があるのですが、ソフトの操作にまだ慣れていないので、手慣れて確実なシリコン印象を行いました。デジタルとアナログでフュージョンできるのでそれでもかなり楽です。

デジタルは歯科医師の技術をカバーしてくれる魔法の技術ではありません。アナログなら優しい技工士がカバーしてくれますがデジタルは冷酷です。そして正直です。もうデジタル化の流れは止まることはないと思いますし保険にも入ってくるでしょうが、大丈夫なのかな? 簡単に印象が採れるなんて嘘です。印象が採れればその後は格段に便利ですが、肝心の印象が採れなければ何も始まりません。そこは10年前のセレック3から何も進化していません。

と、ネガティブなことばかり書いていますが、決してdisってるわけでは無くツールとしての可能性はとても高いと思っています。原理が同じだけで10年前より操作性もスピードも圧倒的に進化しています。そして道具として面白いです。

さて、下の動画はTriosのスマイルデザインというソフトを使ったシミュレーションです。フォトレタッチソフトでも可能だとは思いますが、さすがに専用ソフトは操作性が格段に優れています。しかしこれを実際の補綴物の設計にどうやって利用するのかは解りません(笑)。ちょっとかっこいいですけど、ただの写真の合成です。