口腔内スキャナーの不調

口腔内スキャナーのありがたみをつくづく実感できるのがインプラントの印象のときです。インプラントの印象は大雑把に言えば位置関係だけ記録できれば良いので、簡単と言えば簡単なのですが、いろいろ準備が必要ですしそれなりの時間は必要です。ところがデジタルスキャンだとスキャンボディーというパーツだけ準備すれば、短時間に楽に済ますことが可能です。いや、可能なはずでした。

ところがどういう訳か、今回のスキャンはなんだか上手く進みません。15分もあれば全てが終わるはずのスキャンに60分以上掛かってしまいました。いちいち動作が遅いのです。遅いというか言うことを聞かないのです。それでもなんとか撮り終えて患者さんを送り出し、さてデータをラボに送ろうとしたらエラーで送れません。どうやってもダメなので急遽患者さんに連絡してもう一度戻っていただきました。

残っているデータを活かそうなどとは考えずに最初からもう一度スキャンし直すことにしてスタートしましたが今度はカメラからPCにデータが送れません。そしていじっているうちにとうとうPCごとフリーズしました。今日は終わったとその時は思いながら強制再起動です。

で、再起動してやり直したらアッと言う間に完了してしまいました。さっきまでの苦労はなんだったのよ状態です。トリオス君よ、なんとなく体調が悪いなどという人間みたいな挙動をしないで、ダメならスパッと落ちてくれよ。

デジタル印象が可能なとき

歯肉縁下に形成が及んだ場合はデジタルは難しいと、ことあるごとに書いてきましたが、時には可能なこともあります。圧排糸で歯肉が少し下がってくれて形成限界がどの方向からも(横からでも縦からでも)見える場合にはデジタルだけで印象します。見えているわけですから圧排糸を抜かないで印象します。どの方向からも見えるというのが重要なんじゃないかと私は思っていて、現在のIOSはワンショットで撮っているわけではないので画像の合成をしていますから、情報の連続性が重要なのではないかと勝手に考えているのです。AIがそこをカバーしてはいるのでしょうが理想的には大きな情報量の連続があった方が良いに決まっています。

うちのご老体のCERECですと、なるべく少ないスキャンの枚数で3Dデータを構築するのが理想とされていたため、模型スキャンの際に模型にポイントを彫刻したりしていました。そこをデータの合成の基準点として認識させていたわけです。因みに口の中の直接スキャンは一切行っていませんでした。

デジタルは術者の稚拙な技術をカバーしてはくれません。むしろ術者がデジタルをカバーしなければならないのです。

DICOM Viewer

当院にまだCTが無かった頃は医科の病院に撮影を依頼していました。CTのデータはDICOMという規格のファイルで、それを見るには専用のビューワーが必要です。MacOSに対応したビューワーにはOsiriXという泣く子も黙るソフトがあって、それはなんとフリーのソフトでした。随分お世話になりました。

その後、当院でもCTを導入して、そうなると機種専用のビューワーもあるのでそちらばっかりを使うようになっていました。今ではOsiriXは有料のソフトウエアになったようです。

このたび他院で撮影したDICOMデータを開く必要があったのでビューワーどうしようかとなって、miele-lxivというフリーソフトを見つけました。これがなんと殆どOsiriXそのものでしたよ。という何のオチもないお話でした。

miele-lxivの変なアイコン。