デジタルデンティストリー

連休初日はデジタルデンティストリーのセミナーに参加してきました。デジタル関連のセミナーに参加するのは10年ぶりです。CAD/CAMに興味があるわけではないのですが、IOS(Appleじゃないですよ。口腔内スキャナです)に最近思うことがあるのです。

それなりに私でも話しについて行けました。基本の基本は私がデジタルをスタートした時代とそう大きくは変わっていないようです。ずっと言い続けてきた光学印象の限界は、未来永劫変わることはありません。
それでもひたすら考え続ける歯科医師がいて、例えばIOS(Appleじゃないですよ。口腔内スキャナです(二度目))の欠点を補正するアイディアは感動ものでした。道具は使いこなしてナンボのものです。取説どおりに使っている限りは大したことはできません。

情報では今年中に日本のメーカーがIOS(Appleじゃないですよ。口腔内スキャナです(三度目))を発売することが決まっており、それはつまり保険に導入されるということであり、CAD/CAM冠はメタルクラウンより報酬が高いですから雪崩を打つように歯科医院に広がることが予想されます。そして・・・・・・

下の写真は当院でデジタルデンティストリーを開始した当初の10年前の症例です。

深いむし歯

右に写っているクラウンの隙間がむし歯になっています。

クラウンを外してむし歯を除去したところ。歯肉を電気メスで焼いています。これをレジンで埋めて・・・・

仮歯を入れて経過を診ます。

両隣の歯は残念ですが根管処置が必要でした。根管治療はとても難しいので、できる限り避けたいものです。

オールセラミッククラウン

メタルボンドクラウンとかメタルセラミッククラウンとか言われる被せ物があります。日本語だと金属焼き付け陶材冠です。金属の表面にセラミクス(陶材)を焼き付ける七宝焼きのような技法で作成します。金属の色が透けて見えないように金属表面にオペークという不透明な白い層を作ってその上に陶材を盛り上げて焼いていくのですが、透明感を再現するのにはこのオペークが邪魔になるのです。

下の写真の矢印の歯は当院のオールセラミクスクラウンの治療です。向かって左側(奥歯)は当院でのダイレクトボンディング。向かって右はかなり前に他院で治療したメタルボンド。何十年も経過しているそうですから大成功の治療だと思いますが、透明感がなくて歯肉との境目は黒っぽくなってしまっています。ある程度は回避可能ですが材料の宿命です。金属の良い面も確かにあるのですが将来的には少なくとも前歯では金属を使った補綴は減っていくと思います。

綺麗に削って精密に型を採って上手な技工士さんが作って丁寧に接着するということが行われた上でのお話です。それぞれのステップで60点の積み重ねだとそれが乗算された結果になるのです。そもそもの根管治療がちゃんとしていなければ全ては無駄になります。

結果が全てなのですが結果を出すためのプロセスは重要です。削って型を採って治療時間30分とかは自由診療に於いてはあり得ません。

なお、木田歯科医院は4月から自由診療専門医院となります。保険での治療は行いません。