3Shape TRIOS4

IDS(ケルン国際デンタルショー)が今ちょうど開催されています。いろんなところから情報が入ってきます。いろいろな機材が展示されているのでしょうがなんと言ってもメインストリームはデジタルデンティストリーでしょう。私はデジタルデンティストリーまではフォローしきれないと考えて最近の動向には全くついて行けていません。傍観者です。ちょっと謙遜していますが(笑)。

歯科技工がデジタル化してもアナログをデジタル変換するのは歯科医ではなくても良いわけです。そして何より現状はアナログ印象にアドバンテージがあると思っているのです。

ところがスキャナーは印象用のツールとしてだけでなく口腔内写真用のカメラに取って代わるだろうと気づいてしまいました。患者説明用のデータとして最強かもしれません。CTデータがそうであるように・・・。

下の動画は数年前に出たTRIOS3の後継機種、TRIOS4のIDS 2019でのデモです。圧倒的なスピードと赤外線カメラの画像に驚かされます。今年中に発売されるとの噂です。喉から手が出そうです(汗)。

3Shape TRIOS3

私はもうこの分野の進化を追い続けるのはやめたので、導入することはないと思いますが、先頭を走っているのは3Shapeというメーカーです。名前を初めて知ったのは当院がセレックを導入する頃でした。セレックは例えていえばMacのようなもので、ソフトがハードを選びますが(Appleの製品でしかMacOSは動かない)、3Shapeは当時からオープンソースを謳っていました。ただその頃は情報が錯綜しており、またミリングマシンも揃っておらず、院内でスキャンしてミリングするという形で導入したという話は殆ど聞こえてきませんでした。その点、セレックは安心して使えたのです。スキャナとミリングマシン間でキャリブレーションが殆ど必要無いのは、セレックシステムだからこそだったのだと思います。

セレックも当院のCEREC3からずっと進化はしているのでしょうが、外野から見ている限りでは3Shape凄いなと感じます。

以前も書きましたが、光学印象は難しいです。私は歯肉縁下の光学印象は諦めています。メーカーは盛んに直接口腔内で光学印象することを推奨していましたが、年に一度あるかどうかというよほど条件の良い症例で幸運が手伝ってくれればできたのかも知れませんが、少なくとも私には無理でした。さんざんやってみましたが、今は通常の印象をしてセレック専用の石膏で模型を作ってそれをトリミングしてその模型を光学印象しています。あくまでも歯肉の下のレベルの話です。

スキャナが進化しても歯肉を圧排しなければ絶対に印象は採れません。そしてマージンの全てが直接見えなければ光学印象は成立しません。通常の印象も見えた方が採りやすいですが、印象材は見えないところにも入っていけます。


二重圧排法によるシリコン印象です。この印象をスキャンして三次元的に反転できれば良いと思うのですが、実現しているのかな? 技術的にはそう難しいことではないように思うので、セレックを買った時にメーカーの方に提案したことがあります。印象操作を介するということはセレックのインセンティブがなくなることになるからやらないのかもしれません。

最初に書いたとおり、この分野の知識は私の中ではあまり更新されていませんので、今回のこの記事はひと世代前の機器ユーザーの戯れ言程度と思ってください。