再根管治療が奏効しない根本的な理由

神経の無い歯のトラブルは殆どが細菌感染です。むし歯になって柔らかくなった部分(軟化象牙質)には細菌がいっぱいです。ですからむし歯が残っていると治りません。口の中は細菌だらけです。ですから歯の中と口のなかを隔離しなければなりません。そこからスタートするのが基本中の基本です。根管の中の細菌は多くが偏性嫌気性菌という酸素のある環境下では生息できない菌なので穴を開けて風通しを良くしてやれば治っちゃうのかも知れません。

このケース。軟化象牙質だらけでそのうえ歯の中に穴が開いていました(パーフォレーション)。何回治療しても何年治療しても治りません。

破折ファイルの除去

久しぶりの破折ファイルの除去。通常は術前のCTやレントゲンでその存在を把握していて治療を始めるのですが、このケースではガッタパーチャを除去したところで見つけました。
破折ファイルの除去は破折片の長さ、太さ、根管の湾曲度などによってストラテジーを組み立てます。見つけた時点で一度治療を中断し、CTを撮ってから除去を始めました。CTを見るとイージーケースです。10秒程度で除去できました。

ファイバーポストを除去するのは大変です

殆どの場合、感染根管治療ではなんらかの除去が必要です。被せ物を外して土台を除去し根充剤を取り除いて根管内を清潔にします。もっとも難しいのは破折器具の除去とされていますが私はファイバーポストの除去もかなり難易度は高いと思っています。とくにキッチリ処置されたファイバーポストの除去にはとても時間が掛かってしまいます。大雑把に歯も削って除去すると最悪の場合は歯に穴を開けてしまいます(パーフォレーション)。たとえパーフォレーションを起こさなくても歯が薄くなれば折れてしまうリスクが高くなります。今回はそれが4本です。CTの画像だとファイバーポストはあまりよく見えません。ですので術前の覚悟ができていませんでした。覚悟があっても時短にはなりませんが・・・

金属の土台はやり方が決まっているのでそれに従って振動を与えれば苦労なく外すことが可能です。大抵はポロッと外れてきます。ファイバーポストには(私が知らないだけかも知れませんが)そういった方法がありません。チマチマ削り取るしかないのです。

4本のファイバーポストを除去して根充剤(ガッタパーチャ)に到達したのは治療を開始してから90分くらい経過していました。余計な削除は一切行っていないと思います。これはマイクロスコープ無しではちょっと難しいのではないかと思います。