歯の神経がどうなっているのか?

何年も診断が付けられない歯があります。
クラウンが被っている歯です。

主訴は違和感。冷たいものにしみる。時々疲れた時に痛くなる。幸いどの歯なのかは特定できています。

風をかけると確かにしみます。再現性があります。叩いても痛みは無く、物を介在させて強く咬んでもらっても痛みはありません。この状態がもう5年くらい続いています。我慢できないほどの痛みがあるわけではないのです。

神経の生死はそこに流入する血液の流れがあるかどうかでしか判断できません。そしてそれを知ることは臨床的には不可能です。問診や歯髄の検査(冷たいものをつけてみるなど)はすべて間接的に行われるもので確定診断ではないのです。

結局歯髄を取ってみないと解らないのです。しかし取ってみて何もありませんでしたでは医療行為ではありません。取ってから組織検査をして実は炎症は全体には波及していなかったということだってきっと多いと思います。現在の歯内療法ではそれは歯髄保存療法の適応の可能性が高いのです。

歯髄の診断とは事程左様に難しいのであります。歯内療法を学べば学ぶほど神経を抜くという治療からは遠ざかっていきます。実際私も殆ど行っていません。ただし大きなむし歯になっていてレントゲンでも神経に達していて、ズキズキ痛いなどというケースは何の迷いもありませんからご心配いりませんし、一般的には歯科の診断はとても簡単です。これはごく少ない特殊なケースでのお話です。

歯髄診断の難しさはなかなか患者さんには伝わりにくく、優柔不断だとか診断力不足だとか思われがちなのでしょうが、必要のない侵襲を加えるのは避けなければなりません。曰く、地獄への道は善意で舗装されている。なんとかしてあげたいという善意が確かに善行だった時、初めて医療は祝福されるのです。

仮歯

ゴールドインレーの形成。次のアポイントで歯が入るのですが、それまでの間は何らかの方法で削った部分をカバーしておかねばなりません。簡易的な方法もあるにはあるのですが、遠距離からの通院の方ですので、取れてしまうのは極力避けたいのです。というわけで仮歯をその場で作って仮着セメントで合着するという方法を選択しました。

外した仮歯を模型に入れてみたところです。プロテンプというレジンです。液と粉を混ぜて使うあの臭いレジンとは全く違う物性です。収縮しない、硬い、変色しない、滑沢である、(たぶん)吸水性が低い、などです。そしてコンポジットレジンを足すことが可能です。

事前に型を採っておかなくてはならない等の煩わしいところはあるのですが、普通の即時重合レジンではなかなかこういったフィットを出すのは難しいです。

ハイブリッドインレーを外したら

適合が良くなかったのでハイブリッドインレーを外したら

中にはまたしてもむし歯がありました。

むし歯を削り取って

シリコンで型を採って

光学印象用の石膏を流して

ミリングマシンで削り出しました。セットして終了です。肝心のセットした写真を誤って消してしまいました(汗)。