歯髄を残す

「削らない、抜かない」という魔法のようなことを言うのは簡単ですが、それで済むのなら歯医者要らないです😅。

削らないというのは健康な部分を削らないということで、抜かないというのは抜く必要が無ければ抜かないということであって、むし歯は削らなければなりませんし、助けられない歯は抜かなければなりません。

なのですが従来は抜いていた神経を残せることがあります。詳しい事を知りたい方にはこの書籍がお奨めです。ただし神経を残すことより歯を残すことが当然優先されます。

インレイの隙間からの深いむし歯

メタルインレイ(金属の詰め物)の隙間から深いむし歯ができていました。ダイレクトボンディングで治療するつもりで着手しましたがとても無理で一度コンポジットレジンで詰めた後に改めて削り直してジルコニアクラウンを被せることにしました。このように深いむし歯の治療は安易な切削を行うと簡単に神経に到達してしまいます。

生活歯髄療法 全部断髄

痛みなどの症状が殆ど無い深いむし歯です。

赤い部分が神経、青い部分がむし歯です。むし歯と神経が近接しています。

下顎の第一大臼歯なのですが、うっすらとRadix Entomolaris(下顎第一大臼歯遠心舌側根)も写っています。この根管の治療の難易度は高いのです。
以上の状況を説明し、むし歯を取り切って神経が露出しなければいちばん良いけれども、もし出てしまったら部分的に神経を残す方法で治療しましょうと提案し同意があったのでその方向で治療を始めました。

あっけなく神経が露出し、むし歯の大きさと歯髄腔のボリュームの無さから生活歯髄療法の中で最も成功率が高い全部断髄を選択しました。