サイナストラクト

サイナストラクト。以前はフィステルとよばれていました。現在もそう云われることが多いです。排膿路です。こういうのです(別症例)。

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根管が感染し、根の先に膿がたまって骨が破壊されて、歯肉を破って排膿するのです。

X線写真。

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左の歯です。太いメタルコアの下に根管充填の形跡はなく、根の先には透過像。
骨が溶けたところは黒く見えるのです。

で、金属があるとメタルアーチファクトという邪魔がはいるので、コアを除去した後にCTを撮影しました。

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どうしてこんなに根管を削るのか理解できません。因みに私はメタルコアの除去の際、全く歯は削っていません。根管治療においても、必要最小限の歯質の切削を心がけることが、長期的な予後に重要だと考えます。割れてしまえば抜歯です。

歯質が残っていないので、コンポジットレジンで隔壁を作ってラバーダムを掛けます。根充材の除去の必要がないのですぐに根尖孔に到達します。NaOCLとEDTAで良く洗浄して1回目の治療終了。90分程度でした。次のアポイントまでにはサイナストラクトは高い確率で消失すると思われます。

その後。
二回めの治療で、根管充填を終えました。サイナストラクトも全ての不快症状も消えて、現在経過を観察中です。

 

ラインアングル

直訳すれば線角。ラインアングルを調整することで、歯の幅径を目の錯覚を使って変化させることができます。
しかし、天然歯の形態は変化に富むものだと思い知らされます。

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スクリューリテインインプラント

機能咬頭という歯科用語があります。

・臼歯部では上顎歯の舌側咬頭は多くが下顎歯の中央の溝に咬みあい、下顎歯の頬側咬頭が上顎歯の中央の溝にかみ合う。これらは、咀嚼時に食物をすりつぶす役割を果たすので機能咬頭という。

力が掛かるのは機能咬頭なので、欠けるのも機能咬頭だろうと思うのですが、インプラントで欠けるのは、うちだけなのかも知れませんが、非機能咬頭のことが多いです。何故なのかは勉強不足で解りません。下の写真は機能咬頭の破折です。

これはスクリューリテインと云って、ネジ止めするタイプのインプラントです。欠けたときに簡単に外せて修理できるというメリットから、当院では最近はこのタイプを使うことが殆どです。スクリューを使わない場合は、仮着と云って仮歯を付けるときなどに使うセメントで固定するのですが、いざ外そうとしても外れないのです。なので、外すためのスロットを付けていました。

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このネジ穴は、コンポジットレジンなどで埋めるのですが、もちろん穴のない方が見た目は綺麗です。

しかし、前歯の場合は歯の大きさなどによる制約があるので、仮着の方が使いやすいです。こんな土台の上にセットします。これはジルコニアアバットメント。経験上、前歯はそれほど壊れません。

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大臼歯に用いた症例。

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綺麗ですけど、下の写真はダイレクトボンディングのハンズオン(実習)の画像ですが、わざわざ溝にステインという着色をして自然観を出したりしますから、穴を埋めるくらいのことは、大した問題じゃないとも思います。

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