歯性上顎洞炎の疑い

耳鼻科の先生からご紹介を頂いたケースです。

ヘリカルスキャンで撮影された画像。赤い線で囲まれたところが上顎洞の病変です。反対側は真っ黒に写っていますがこれが正常です。空洞なのでこのように黒く抜けるのですが何らかの貯留物があると白くなります。

上顎洞炎は歯とは無関係にも発症しますが、このように片側に現れて周辺の歯に根尖病変がある場合は歯性上顎洞炎の可能性があります。このケースでは7番が失活歯で病変もあったので治療に介入しました。

ヘリカルスキャンCTでは読像に限界があるので当院でコーンビームCTでの撮影を行いました。

動画でも解説していますが、遠心頬側根管は未処置でした。

しかしこれが上顎洞炎の原因だと特定することはできません。治療して経過を見て初めて確定診断が可能になります。歯科医師としてできることは歯内療法を行うか抜歯をするかしかありません。抜歯は最後の手段であるべきで、最悪の結果は抜歯はしてみたが上顎洞炎は治癒しないということです。

幸い、担当の医師とは情報を交換する時間を取ることができたため、上手く連携することができています。耳鼻科医に直接お話を聞くチャンスはなかなかありませんからこのような機会があったことは幸運でした。

 

歯内療法に生かす根管解剖

透明標本と顕微鏡写真とCT画像とレントゲン画像がとても美しく、時間を忘れて読み耽ってしまいました。
透明標本の写真はまるで蟻の巣のようで、それは複雑系の例によく出てきます。こんなものを相手にしているのですから最初から勝ち目は無いのかも、なんて思いながら勝ちに行くのです。

3Dマイクロスコープ

エンドのセミナーの際、休憩時間にメーカーの展示ブースを眺めていて発見しました。日本製3Dカメラシステム! モーラビジョンという海外製品はあったのですが、これは三鷹光器が開発したそうです。医科用の顕微鏡では有名なメーカーです。歯科用顕微鏡も開発しています。凄いらしいです。

その3Dカメラはまだ実動はしていませんでしたが、ビームスプリッターのような構造で顕微鏡に組み込みます。ということは従来の顕微鏡に3Dの機能を追加できるということでしょうから、これは魅力があります。大抵の歯科用顕微鏡に対応しているようですが、ツァイスの規格にはジョイントなどを介せずセットできるとのことでした。秋のデンタルショーで実動機がデビューするそうです。

まだ顕微鏡歯科の世界はデジタルの時代にはなっていません。接眼レンズを覗いています。ちょっと考えただけでもいくらでもアイディアが浮かんできます。これからどんどん発展していく分野だと思います。歯科医の仕事もオペレーターのようになっていくのでしょうね。

頑張れ日本!