MTAでの根管充填

神経を抜いて被せたけれど、痛みが続くため再治療になったら治療中の痛みに耐えきれず、治療後も痛みが続くというということで転院してきた患者さんです。
神経が無い歯の治療で治療中に強く痛いのは、根の先(根尖孔)から外に器具を押し出している可能性があります。

上は初診時のレントゲン。根管内には水酸化カルシウムが入っていました。セメントで蓋がしてありましたが(仮封)これでは密閉されず簡単に感染してしまいます。そもそもこれではラバーダムも装着できません。

画像が不鮮明ですが、治療中のレントゲン。根尖孔は破壊されていました。通常のガッタパーチャでの根管充填では対応できないケースです。

MTAでの根管充填。MTAは根管の外に押し出しても予後に悪影響が出ない唯一の材料です。根尖が壊れていても不安無く詰めることができます。3枚目は根管充填後のレントゲン写真です。根の長さピッタリに根管充填されているように見えますが、これは間違いなく根の先に飛び出しています。根管充填の際にマイクロスコープで見えていた破壊された根先孔に加圧しましたから(密閉するためには圧が必要)。


こんな充填器を使います。

不快症状は消えました。

親知らず

親知らずのせいで手前の歯にむし歯ができてしまったケースです。
親知らずを抜歯しておけば、ここがむし歯になる確率はずっと低かったはずです。
十数年前にこのブリッジを入れるときにその説明はしたのですが、何でも無い歯を抜くのには抵抗があるということで、強く奨めることはしなかったのが悔やまれます。ワーファリンという薬を飲んでいたせいもありました。血液をサラサラにするクスリです。
因みに以前は抜歯前にワーファリンを休薬するのが一般的でしたが、休薬のリスクが出血のリスクを上回るので今はPT-INR値が4以下ならば休薬せずに抜歯可能とするガイドラインが出ています(2010年)。

根管充填を終えたのでこれから親知らずを抜歯した後にブリッジを作りなおします。