スクリューポスト除去

 

向かって左端の歯の根管治療を市内の先生にご紹介いただきました。大都市では根管治療の紹介は既に普通のことになっているのですが、地方ではまだまだ珍しいことです。そもそも保険外の根管治療というもの自体、あまり認知されていないのかもしれません。当院に根管治療で受診される方のほとんどは、ご自分で情報を集めて来院されます。情報といってもこのHPだけですが。

ともあれ、患者利益を最優先にお考えになりご紹介下さった先生の信頼に応えるべく、言うまでも無いことですが持てる最善の治療をさせて頂きます。もしここをお読みでしたら、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

さて、ポストの形成をして、印象し鋳造して作られたメタルコアは(下のイラストのグレーの部分)、根管にセメント合着されます。ピッタリ作られているのでセメントの厚さは薄く(ミクロン単位)、そこを選択的に除去してコアを除去することは不可能です。したがってメタルコアを直接削って除去します。歯質を極力削除しないためです。削らないで一気に外す方法もあるのですが、私は歯根破折が怖いので殆どやりません。

 

 

一方、スクリューポストは根管にフィットしていませんから、周囲に接着剤(レジン)の層が存在します。下のイラストの青い部分です。マイクロスコープと超音波チップを使うと、歯を削らずにこの層だけを壊してスクリューポスト(グレーの部分)を除去することができます。上のレントゲン写真の右の方に写っているスクリューポストは、ヘッドが残っているので、ある程度露出させてドライバーでネジを抜くように回転して除去できる場合が多いのですが、この歯ではヘッドが残っていないのでその方法は使えません。

 

 

除去前。中心に見える銀色の金属がスクリューポストです。

除去後。ガッタパーチャが見えています。

動画です。

除去したスクリュー。

この後、ガッタパーチャを除去します。

 

 

パーフォレーションとサイナストラクトのある上顎前歯コンプロマイズド症例(その2)

この症例の続きです。

赤い丸の中がパーフォレーション部位です。水酸化カルシウムを除去しMTAを充填します。充填後、サイナストラクトからガッタパーチャポイントを挿入してレントゲンを撮りました。サイナストラクトの原因はパーフォレーションだったことが確認できます。

とはいえ、メインの根管治療も行っておきます。

繰り返すようですが、このようなシビアなケースでは、どのような意思決定を行うかが重要です。

追記:16ヶ月後はこちらです。

最近出たばかりの書籍ですが、本物の専門医の症例には圧倒されます。

レッジ

本来の根管を逸脱してファイルを操作して作ってしまったステップをレッジと言います。これが根尖近くにあると根管治療の難易度はとても高くなります。

赤い部分が本来の根管です。

ファイルを入れるとこのように進んで止まってしまいます。赤い部分を綺麗にできません。

 

ファイルを曲げて(プレカーブ)本来の根管を探していきます。この症例では08のファイルで穿通できたのですが、その後番手を上げるとなかなかレッジを超えることができず非常に苦労しました。動画のファイルは40番ですが、ここまでくるのに二回のアポイントが必要でした。180分です。

再根管治療は難しいです。まして本来の根管を壊していると難易度はとても高くなります。