石灰化した歯髄


歯髄に達するむし歯です。痛みもありますから神経を抜きます。上顎第一大臼歯ですから通常3根です。

 


赤い線は頰側根の歯髄腔ですが、青い円の中の口蓋根の歯髄腔(神経の入っている根の中の空洞)がよく見えません。

 


抜随すると口蓋根管の中からこんな歯髄が出てきました。生活歯髄です。半分石灰化してます。堅いです。

歯髄の石灰化については諸説あるようですが、これは第三象牙質(病的第二象牙質)なのだろうと思います。専門書にはスイスチーズ様の構造を示すと書かれていますが、スイスチーズの構造を知らない(笑)。

この症例ではこれがスポッと抜けてきたので治療がやりにくくなるという程のものでもなかったのですが、これが根管内に残っていると何故か電気根管長測定器が非常に不安定になります。

 

 

3Shape TRIOS3

私はもうこの分野の進化を追い続けるのはやめたので、導入することはないと思いますが、先頭を走っているのは3Shapeというメーカーです。名前を初めて知ったのは当院がセレックを導入する頃でした。セレックは例えていえばMacのようなもので、ソフトがハードを選びますが(Appleの製品でしかMacOSは動かない)、3Shapeは当時からオープンソースを謳っていました。ただその頃は情報が錯綜しており、またミリングマシンも揃っておらず、院内でスキャンしてミリングするという形で導入したという話は殆ど聞こえてきませんでした。その点、セレックは安心して使えたのです。スキャナとミリングマシン間でキャリブレーションが殆ど必要無いのは、セレックシステムだからこそだったのだと思います。

セレックも当院のCEREC3からずっと進化はしているのでしょうが、外野から見ている限りでは3Shape凄いなと感じます。

以前も書きましたが、光学印象は難しいです。私は歯肉縁下の光学印象は諦めています。メーカーは盛んに直接口腔内で光学印象することを推奨していましたが、年に一度あるかどうかというよほど条件の良い症例で幸運が手伝ってくれればできたのかも知れませんが、少なくとも私には無理でした。さんざんやってみましたが、今は通常の印象をしてセレック専用の石膏で模型を作ってそれをトリミングしてその模型を光学印象しています。あくまでも歯肉の下のレベルの話です。

スキャナが進化しても歯肉を圧排しなければ絶対に印象は採れません。そしてマージンの全てが直接見えなければ光学印象は成立しません。通常の印象も見えた方が採りやすいですが、印象材は見えないところにも入っていけます。


二重圧排法によるシリコン印象です。この印象をスキャンして三次元的に反転できれば良いと思うのですが、実現しているのかな? 技術的にはそう難しいことではないように思うので、セレックを買った時にメーカーの方に提案したことがあります。印象操作を介するということはセレックのインセンティブがなくなることになるからやらないのかもしれません。

最初に書いたとおり、この分野の知識は私の中ではあまり更新されていませんので、今回のこの記事はひと世代前の機器ユーザーの戯れ言程度と思ってください。

マイクロスコープの映像記録


この部屋のモニターが増え続けてとうとう5枚になりました。陰になって見えませんが滅多に使わないiPadもあります。

 


その1
レントゲン関係のモニタ

 


その2と3
患者さんの写真や説明用の画像を表示するモニタ。これがミラーリングで2枚あります。マイクロスコープの映像もここで表示されます。

 


その4
セレック

 


その5
治療費見積もり、紹介状、音楽再生、その他諸々のデータ用。

院内全体だと11枚のモニタ、10台のPC。

 


これがマイクロスコープの映像ですが、ここひと月ほど稼動していません。映像記録システムを刷新しているのですが、肝心のマイクロスコープの画像をカメラに渡すパーツが日本のディーラーに在庫がなく、本国から取り寄せ待ちで、早くても7月末になりそうです。ですのでそれまではマイクロスコープの映像をお見せすることができません。私だけ見えています。

ところで、「私だけ見えている」ということは客観的に治療を評価されないということですから、極端なことを言えば、下手でも誰にも解らないということです。なお、根充後のレントゲン写真はあまり意味を持ちません。根管治療は予後を保証しませんから(つまり治らなくても治療費が発生する。通常医療行為はそういうものです。)、技術を伴わない顕微鏡治療で高額な治療費だけ請求するということもあり得るのです。それを防ぐための資料として最適なのは、実際の治療の映像です。映像なら第三者に開示することも可能です。

と、最近思うようになったので(^^;)、これを機会にこれからはちゃんと整理してマイクロスコープの映像を保存することにします。今までの記録はデータとして使用できるように処理はしてなかったのです。編集しなければ動画は1本数ギガ程度になりますから、その中身を見てデータベース化するなんて今更もう無理です。

今後は患者さんのご希望があれば治療映像をお渡ししようかと考えています。事前にお申し出下さい。それなりに見やすい映像記録を意識します。8月以降には可能になると思います。ただし見てもたぶん退屈なだけです。著作権は放棄しません。なお、これは保険外自由診療です。

さて、上の画像は10年ほど前のものです。光学系(レンズなど)はその頃から充分な性能があったのですが、それを映像記録として処理する能力は今とは雲泥の差でした。当初はSビデオ出力でHDレコーダーに録画して、それをDVDに焼いて、それをリッピングしてPCで編集可能なデータにしていました。とても遠回りです。時間も掛かるし面倒なのでその後ADコンバーターで変換してダイレクトにPC取り込むようにしましたが、綺麗とはとてもいえない映像でした。それが今やフルハイビジョンの画質が民生機で簡単に手に入る時代ですから、たった10年で隔世の感があります。たぶんここは更に進歩していくでしょう。今回導入する映像記録システムはメーカーでセット売りされているものではなく、私が自力で組むシステムなので、実際に動かしてみないとどうなるか解らないのですが、思惑通りにいけば下のレベルの画像が手に入ります。実はセット売りのものは、友人のユーザーのオフィスを訪問して実際に見せてもらったのですが、値段に見合った画像とはどうしても思えなかったので却下しました。データの整理には適しているようでしたが、その辺は自力で解決できるはずです。

 

この画像は生のデータではなく、圧縮縮小してあります。画像をクリックすると、低画質ですが拡大されます。導入するカメラメーカーからお借りしたサンプル画像です。最高解像度4608×3456です。これならクラックも鮮明に写しだしてくれるのではないかと期待しています。