破折ファイルの除去

久しぶりの破折ファイルの除去。通常は術前のCTやレントゲンでその存在を把握していて治療を始めるのですが、このケースではガッタパーチャを除去したところで見つけました。
破折ファイルの除去は破折片の長さ、太さ、根管の湾曲度などによってストラテジーを組み立てます。見つけた時点で一度治療を中断し、CTを撮ってから除去を始めました。CTを見るとイージーケースです。10秒程度で除去できました。

ファイバーポストを除去するのは大変です

殆どの場合、感染根管治療ではなんらかの除去が必要です。被せ物を外して土台を除去し根充剤を取り除いて根管内を清潔にします。もっとも難しいのは破折器具の除去とされていますが私はファイバーポストの除去もかなり難易度は高いと思っています。とくにキッチリ処置されたファイバーポストの除去にはとても時間が掛かってしまいます。大雑把に歯も削って除去すると最悪の場合は歯に穴を開けてしまいます(パーフォレーション)。たとえパーフォレーションを起こさなくても歯が薄くなれば折れてしまうリスクが高くなります。今回はそれが4本です。CTの画像だとファイバーポストはあまりよく見えません。ですので術前の覚悟ができていませんでした。覚悟があっても時短にはなりませんが・・・

金属の土台はやり方が決まっているのでそれに従って振動を与えれば苦労なく外すことが可能です。大抵はポロッと外れてきます。ファイバーポストには(私が知らないだけかも知れませんが)そういった方法がありません。チマチマ削り取るしかないのです。

4本のファイバーポストを除去して根充剤(ガッタパーチャ)に到達したのは治療を開始してから90分くらい経過していました。余計な削除は一切行っていないと思います。これはマイクロスコープ無しではちょっと難しいのではないかと思います。

外部吸収のあったエンドペリオ病変の27ヶ月経過

上の動画のケースです。
下は着手前のCT像(その他の画像と比較しやすいように反転しています)
遠心にサイナストラクトがあり近心根には深いポケットがありました。近心根は歯根2/3辺りに外部吸収がありそこから出血と排膿がありました。その先は穿通できませんでした。遠心根は穿通できました。
下が根充後です。

3ヶ月後 サイナストラクトは消えています。不快症状は消えました。機能的に問題はありません。遠心は骨の回復があるように見えますが近心根の不透過増はあまり変化がないように見えます。

27ヶ月後 不快症状はありません。機能も正常。骨は随分回復してきているように見えます。近心根にあった深いポケットは消えています。
根の病気は100%ではありませんが基本に忠実に施術すれば根尖まで拡大できなくても治ります。特別のことではありません。