外科的廷出

差し歯が取れてしまったと来院されました。歯肉の下までむし歯が進んでいます。

このような状態の歯をちゃんと残す方法は三つしかありません。エキストリュージョン外科的廷出クラウンレングスニングです。クラウンレングスニングは前歯部にはあまり使えません。歯肉が下がるので見た目が不自然になってしまうからです。下の写真(刺激が強いのでモノクロに変換)のように全体の歯肉を下げる場合には使えるのですがこれは今回のケースとは目的が違います。

外科的廷出後にファイバーポストを入れて形成した状態。全周にフェルールが充分確保された理想的な状態です。術後二ヶ月です。以前はもっと長い期間をおいて安定を待って補綴していましたが、必要無いと思うようになりました。ある程度歯肉が安定したら積極的に咬合させるべきだと最近は考えています。

まだ少し動揺があります。動揺が無い方がしっかりしていて良いように思われるかも知れませんが、それはアンキローシスという良くない方向に進んでいる可能性が高いのです。そうなってしまうと歯根吸収が起きてしまいます。

セレックで補綴の治療費を抑えられれば、治療費はトータルで15万円程度です。勿論どんな歯でもこの手法で残せるということではありません。

歯科外来診療環境体制加算

歯科外来診療環境体制加算というのが保険点数に追加されるそうです。

タービンが患者さんごとに滅菌されていないことが問題になり、それをきっかけに衛生管理を是正するための方策のようですが、当院には施設基準に必要な口腔外バキュームという掃除機みたいな機械が無いので申請できません。必要ないと思っていますから購入はしません。因みにタービンの滅菌はいつからやってるのか解らないくらい前からやっていますからご安心を。

下の写真は使い捨てのスリーウエイシリンジのチップです。口の中に風とか水を掛ける時に使うシリンジの先に接続します。そもそも作動させるとうるさくてあまり使われないらしい口腔外バキュームですが(ディーラー談)、偶に使って空中に浮遊するであろう削りカスをちょっと吸うより、口腔内に直接接触する機会の多いこっちの方が衛生管理の優先度は高いと思うのですが、あまり普及していないようです。

で、歯科外来診療環境体制加算は再診料が30円高くなるそうで、申請しないと減点になるそうです。
ですので、申請を出していないうちの歯医者は安いでっせ!! という安売りの宣伝でした(冗談ですよ)。