慢性疼痛

このケースです。

根管治療後二ヶ月経過です。完全に違和感が消えて何でも食べられるという所まではいっていないのですが、ご本人曰く「日常生活にそれほど支障は無い」ということですので次のステップに進むことにしました。
もちろんレントゲンで経過は確認しています。

治療に介入したころはかなり憔悴なさっていたのですが、今は笑いながらその頃を振り返ることができるようになって、歯のことばっかり考えているという生活からは脱却できたそうです。
治療時間の半分以上はお話をしていたように思います。痛みは多様な表現を持っていて、根管の中を診ているだけでは解決できないようなこともあるのです。とはいえ、基本的には歯内療法で解決可能なケースが私の守備範囲です。つまり歯が原因の痛みです。

治療後

超音波チップを使ったスクリューポスト除去

「コア」とか「ポスト」と呼ばれますが神経を抜いた後に根に入れる土台です。多くの場合、再治療はこれを外す必要があるのですがケースに応じて様々な方法を駆使します。重要なのは除去の際に歯を削らないことです。歯を削ってしまえばその後の歯の寿命を短くしてしまいます。そして強引な力を加えないこと。無理をすれば歯が割れてしまいます。

レントゲンに写っているのはスクリューポストというネジのようなモノです。そして今回の除去はポスト除去専用の超音波チップを使用する方法で行いました。こんなただの棒のようなチップがどうして効果があるのかよく解らないのですが、とにかくこれが良いです。何年か前にハンズオンの使用機材として購入したのですがもしかしたら日本では売っていないのかも知れません。もちろん問い合わせれば教えてくれると思いますが名前も知らないのです。

ご覧のように気持ちよく外れてくれます。闇雲に当ててもダメで下準備が必要なんですが、手放せない小道具の一つです。

ところで治療中に「あれ? スクリューポストって逆ネジだったっけ?」と思ったのです。つまり時計回しに回して抜けたのです。もう全く使わないですが私も大昔には使ったことがあって、時計回しで入れていたような記憶があるのです。で、動画を確認していて気づきました。これは鏡で写しているから逆なんですね。直視でもミラーで見ても自在に手は動くのですが(当然ミラー下では逆に写っています)、ネジの方向は脳の中で変換は行われていないようです。鏡に写った像の認識には色々不思議なことがあるようです。

アナログ印象

デジタルで印象できるケースはアナログでも印象できますが、アナログでできる印象が全てデジタルでできるということはありません。デジタルは写真のようなものなので歯肉の下の(歯肉縁下といいます)印象は苦手です。いろいろ工夫してやる方法もありますがそんな苦労をするよりシリコンでアナログ印象した方が確実です。と、現時点では思っています。手段の目的化はしません。どちらでも印象が可能ならデジタルを使います。効率が良いからです。

同じ歯肉圧排からの印象。上の画像は本気で採ろうと思ってデジタル印象したわけではないのですが、これでは使い物にはなりません。下がアナログ印象です。エッジが立った良い印象だと思います。