急性根尖性歯周炎

根尖病変の急性化で来院されました。大きく腫れていました。根管は開放状態でした。

根管の外に溜まった膿を、根管を通して排膿しようという考え方ですが、私はやりません。破折ファイルもありました。その奥の歯(7番)も問題を抱えています。おそらく樋状根です。横から倒れるように見えるのは親知らずですが、7番の治療の際に、少なくとも抜歯の必要性を説明しておくべきだと思います。


根充後のレントゲン。オーバー根充ですが全ての症状は消えています。

次の治療はレジンでコアを立てます。ある意味、根管充填よりも重要な作業です。根管充填後にも再感染は容易に起きます。レジンで密閉して完全に細菌の侵入を遮断して歯内療法は一応の終了です。削って型を採って金属の土台を入れるという従来の手法には、少なくとも歯内療法的にはメリットはありません。
感染根管治療の際に、クラウンを外した瞬間に悪臭がするのはクラウンの隙間から細菌が侵入した可能性が高いです。これをコロナルリーケージといいます。

外科的歯内療法のメリット

  
術中         根充後       2年後

通常の根管治療です。画像をクリックすると拡大します。なんとか治ってきているようにも見えます。不快症状やサイナストラクトはありません。ダメだったら切りましょうと説明はしてありましたが、やらないで済むに超したことはありません。外科的歯内療法は最終手段として取っておきます。その次は抜歯しか無いわけですから。

通常の感染根管治療は補綴物を外し、コアを除去し、根管内にアクセスするわけですが、そうするとまた補綴物を作り直すことになり治療費は跳ね上がります。単独冠ならまだしも、ブリッジに組み込まれた歯の場合には全てをやり直すことになってしまいます。

外科的歯内療法(エンドサージェリー)は補綴物を外さなくても治療介入できるというのもメリットのひとつです。

 

 

 

樋状根の根充後のレントゲン

この症例のレントゲンです。

術前 樋状根なのに通常の根管のようなメタルコアが入っています。脚が2本あります。この歯は大丈夫でしたがパーフォレーションをおこすのでやってはいけません。

別の症例ですが、樋状根を根充するとこんな形になります。アルファベットのCの字に似ているので、Cシェイプとも言います。この場合、脚が2本にはならないのです。

根充後