インプラントを再セット

インプラントがカクカクするので診て欲しいという主訴でした。当院での治療ではありません。インプラントのメーカーは何十社もあってそれぞれ規格が違うので対応に困ることがあるのですが、幸い前医が知り合いだったので上手く対応できました。

インプラントはスクリューで固定するタイプと、セメントで接着するタイプがあるのですが、セメントで接着する場合は仮着といって何かトラブルがあった時に外せる程度の接着力のセメントを使用します。しかしこれが経験上いざ外そうとしてもまず外れません。今回のトラブルはこのタイプのインプラントで、上手く外せれば中のネジを増し締めするだけなのですが、どうしても外れないので上から穴を開けてネジにアクセスするという方法をとるしかありませんでした。スクリュー固定のタイプですとネジ穴が開いているので簡単にアクセスできます。実物を見れば簡単な仕組みなのですが、文章だと解りづらいですね。詳しくはここに書いてあります。

うまく削って穴を開けることができてネジに到達できたのですが、当院のインプラント用のドライバーがネジ穴にフィットしません。結局、後日前医から機材を送ってもらって対応しました。JIS規格のようなものをインプラントメーカーの間で最初に決めておかなかったことでこうなってしまったのでしょうが、困ったものです。

 

セットして穴をレジンで埋めた状態。色が合っていませんが全く見えないところなので問題ありません。

根管充填

このケースです。

抜随後は完全に不快症状は消えたそうです。クラックによる歯髄炎は自信を持って確定診断をつけるのはなかなか難しく、治療後の症状の経過でハッキリするということがあります。つまり診断は当たっていました。

2回目の治療でガッタパーチャで根管充填しました。あまり抜随(神経を抜くこと)は私の臨床では多くないのでガッタパーチャでの根管充填もあまりありません。25番の04テーパーのポイントです。

MB2の存在の雰囲気がプンプンしたのですが見つかりませんでした。根管充填まで90分程度でした。

MTAでの根管充填

抜髄根管ではガッタパーチャにバイオセラミックス系の根管充填シーラーでシングルポイントで根管充填しています。使用するニッケルチタンファイルのサイズとテーパーに合わせたガッタパーチャを使うのでそれでいいと思っています。そんなに規格通りに合うわけはないのですが(根管の形態は思っている以上に複雑だし、ファイルとガッタパーチャポイントが厳密に規格が合うわけではない)、問題は出ません。

しかし感染根管では根管がすでに大きく削られている場合が多いので、それができません。ガッタパーチャで緊密に詰めるには加温して柔らかくなった状態のガッタパーチャを加圧して行う方法はありますが、緊密と言ってもマクロのレベルです。根管内の感染を完璧に取り除くことはできないので、薬理的な効果も期待したいわけで、再治療の場合はほとんどのケースでMTAでの根管充填を行っています。MTAは長期にわたって殺菌効果があり、象牙質と接着するため漏洩のリスクを大きく減らすことができます。

欠点は、操作性が非常に悪くその後の再治療が殆ど不可能で大変高価なことです。ただしどんな病名で使用可能になるのかは分かりませんが、今後保険に導入されるという噂はあります。