コンポジットレジンの加熱器・印象材の冷却器

臼歯のダイレクトボンディングは咬合面(歯の上の面。咬み合う面)にこのような山と谷を作っていくのですが、その際にレジンの操作性が重要です。柔らかいものだと凸凹に詰めても固める前に(光を当てるとかたまります)溶けるように平らになってしまいます。硬いレジンだとそういうことは回避できるのですが、こんどは窩洞(削った穴)への馴染みが良くありません。上手く表現できませんがボソボソなのです。

最初は柔らかく、だんだん硬くというのが良いのですが(硬化してはだめです)、そんなことがこれを使うと可能になります。要はヒーターです。硬いレジンも加熱すると柔らかくなるのです。物性は落ちません。

特に冬場には活躍します。と思います。まだ買ったばかりなのでわからない(笑)。

逆に夏場はこれが重宝します。チェアサイドに置ける小型の冷蔵庫です。印象材(型を取る粘土のようなもの)は化学変化で硬化しますから温度が高いとすぐに固まってしまうのです。冷蔵保存の指定のある薬剤などもあります。大きい冷蔵庫でも良いのですがそれだと肉とか魚とかマヨネーズとか入ってそうで台所感が強く出てしまってかっこ悪いのです。っていうか邪魔です(苦笑)。

当院のレジンの動画をご覧になると充填時は黄色い照明に変わりますが、レジンは光で硬化するため硬化しない照明を使う必要があるからです。黄色い光だとなぜ固まらないのかは調べればすぐに解るのでしょうが、必要ない知識なので知りません(笑)。本当はイエローライトは立体感が無くなりとても見づらいので、メーカーには自然光では硬化しないで、別の色の光で硬化するレジンを開発してもらいたいものです。何か理由があってそうしないのかもしれませんが・・・ 
いや、贅沢を言ってはいけませんね。コンポジットレジンが世に出た頃は二つのペーストを練り合わせて硬化を待つという材料だったのです。冷やして時間稼ぎしてました(笑)。

エンド由来歯痛

歯内療法は多くの場合痛みを取り除くということが最重要課題になります。その痛みが歯に由来していれば治療効果が出る可能性は高いのですが、それが歯の所為でなければ歯を治療しても痛みは引きません。たとえ抜歯しても痛みは消えません。
幻肢痛という言葉をご存じでしょうか? 怪我や病気によって四肢を切断した患者さんに現れる失った部位の痛みをいいます。これと同じようなことが歯でもおきるのです。

私にはこういった歯に直接原因の無い種類の痛みを取り除くことはできません。つまり治療することができないのですが、診断する能力は高めておく必要があります。学ぶ機会があれば積極的に参加するようにしていますし、書籍も読むようにしています。直せない疼痛に着手するのは患者さんにとっても歯科医にとっても悲劇しか生みません。

ただ歯科医師の中でもこの分野の認知度は非常に低いのが現状のようです。