このケースです。手前の6番と4番のセラミックインレイ、5番のインプラントは他院での治療です。どれも非常に上手な治療です。それでもセラミックインレイはこうして劣化していきます。境界部(マージン)の着色とチップ(欠ける)です。ダイレクトボンディングではこういったことはあまり経験しません。表面の劣化(摩耗や粗造化)はありますが再研磨すれば大抵回復します。私がセラミックインレイを殆どやらないのはこれがひとつの理由です。ダイレクトボンディングが不可能なケースではフルクラウンを選択しています。
苦労してメタルコアを外したらパーフォレーション出現
メタルコアを外すのは専用の超音波チップを使えば比較的容易なのですが、何故か今回はとても苦労しました。除去の際に重要なのは歯を削らないことです。選択的にコア材だけを削ります。バー(ドリル)の刃を常に見ていないとそれはできません。
かなり削り込んで最終的には超音波で外せました。外したらパーフォレーション出現2カ所出現です。そんなところを削っちゃダメなんだってば❗❗と、苦労しただけにイラッとします。再治療は大抵そうです。パーフォレーションは治療可能ですが削りすぎた歯の強度を取り戻すことはできません。神経を抜くと歯の強度が落ちると言われますが実はそんなことはありません。不用意に削るからです。完璧な治療なんて誰もできないんだからせめてなるべく侵襲は小さくしよう。恐れを持って治療に臨もう。と、思った死ぬほど暑い夏の日の午後の出来事。
大きな病変・歯髄結石・樋状根・サイナストラクトがある大臼歯の感染根管治療の1年経過後
このケースの1年後です。舌側の皮質骨を破壊して広がった病変でしたが骨は再生されています。Healed(治癒)と言って良いと思います。
この歯にはヒビがあってそこからの細菌感染による歯髄壊死。そして病変という状態でした。現在、不快症状はありません。ただ患者さんはこの歯にヒビが入っていることを伝えてありますから、割れてしまうのが不安だと仰っていました。
人工骨ではない自分の骨が再生していますからそうなったらインプラントの植立も容易ですと無責任にお話ししました😅。
CTです。術前と術後で画質が違うのは術前は紹介元の歯科医院からのご提供に依るものだからです。
上の画像 術前 コロナル
この断面では病変が歯の全体を取り囲んでいます。左側が舌側ですが骨を突き抜けて排膿していました。
上の画像 術後 コロナル
骨が良く再生しています。
上の画像 術前 サジタル
上の画像 術後 サジタル
上の画像 術前 アキシャル
上の画像 術後 アキシャル
根管治療はルールに則って行えば多くの場合で成功します。ただルールに則った治療は保険診療では殆ど無理だと思います。あまりにも診療報酬が低くて経営が成り立たないからです。
と、思います。
下の動画は治療時のものです。