このケースの4年経過。たったの4年ですが劣化は認められないようです。2番目の画像が術中のものですがけっこう広範囲に削除してあります。
3本の歯にまたがった大きな病変のため診断に苦労したケース
根の先に膿がたまってそれが大きいから抜歯しましょうというという診断は間違っています。私の知る限りでは何ミリ以上になったら治せないという文献は無いと思います。やってみないと解らないと私は考えます。
下顎小臼歯2本(4番と5番)第一大臼歯(6番)まで広がった病変です。どの歯が原因なのかを診断するのは非常に難しいです。どの歯も同じような痛みがあり打診などの反応も明確ではありません。4番には生活反応がありません。修復物は非常に歯髄に近くまで及んでいます。怪しいのですが、とは言え歯髄の生死を決定的に診断する術はありません。鎮痛剤はよく効くそうなので非歯原生歯痛の可能性は低いです。
一刻も早く痛みから解放して差し上げたい。なのに診断がつかない。こういったケースはそう多くはないのですがこれは医療者としては辛い。
幸いこの状況を打破できたのは紹介元の歯科医院からご提供いただいた過去のレントゲン写真でした。そこには臨在歯に及ばない5番単独の病変が写っていたのです。
診断がつけば後は治療するだけ。メインのガッタパーチャを抜くと大量の排膿がありました。そして3日後の来院時には全ての症状は消えていました。まだ少し出血もあったのでその日は洗浄をメインに行って3回目の来院で根管充填を終えました。
このまま少し経過を追います。改善しなければ歯内療法外科です。
歯周外科処置で歯肉からの排膿を止める
歯周病に関しては私は専門外ですが必要に迫られて施術しました。歯肉を剥離して明視化でデブライドメント(悪いものを除去する)を行い排膿を止めました。術後3ヶ月です。
歯周病の治療を完全自由診療下で行えるような自信は私にはありませんので、ごく限られた方の限られた範囲でしか行っておりません。