手段の目的化

特に補綴分野ではデジタル化は急速に進んでいるようです。
下の動画は当院に導入されて十年目を迎えるご老体のCEREC3。
ギャーギャー苦しそうに唸ってますが、悲鳴ではありません。
現役で稼動しているCEREC3って徐々に絶滅危惧種になっていくと思われます。
すでにそうだったりして。

CAD/CAMといえば、石膏のブロックから作業用模型を削り出すという方法を最近動画で見ました。何が利点なのか考えてみたのですが、石膏の膨張をキャンセルできること位しか思い浮かびません。でもそこまで拘るならジロフォームはもっとメジャーになっていたはずです。

どうしても手段が目的化しているように私には思えてしまうのです。

ところで今や3Dプリンターはかなり安くなっています。いずれは2Dプリンターのような値段になってくると思われます。OsiriXならDICOMデータをSTLデータに変換できますから、私の手持ちの機器に3Dプリンターだけ買い足せば、立体模型をプリントすることができると思います!!
しかしこれは手段の目的化どころか、目的の無い手段の妄想です。つまりただの時間の無駄なんだと冷静になって思うのでした。

一方、全く違うアプローチのGentleWave。これは凄いです。

 

 

桜咲く

診療室の正面の窓から桜が見えるのですが、今年はずいぶん開花が早いです。
蜂も飛んでいました。
春来たりなば……
季節が過ぎゆくのも早い。もうちょっとでお正月です(笑;)。

下の画像はマイクロスコープで撮影してみた、この桜のオシベとメシベです。機会があったら肉眼で桜の花を覗いてみて下さい。この画像がどんなに拡大されて撮影されているかがお分かりになると思います。術者の視野全体にこの像が見えるわけですから、実際にはこの画面で見るよりさらにずっと大きく見えています。

口腔顔面痛

歯が痛いと来院された方で、原因の歯を特定できないことがあります。
歯科医としては目の前で苦しんでいる患者さんをなんとかしてあげたいと治療に介入したくなりますが、原因が特定できない場合は触れません。触ってはいけないのです。

例えば上の図の中央付近のエメラルドグリーンの部位は、三叉神経節という所ですが、ここに異常があると歯に原因が無くても歯が痛いと感じることがあります。なんとか助けてあげたいという善意から治療に介入すると、健康な歯を削って、神経を抜いて、それでも治らずに抜歯して、それでも治らずに隣の歯を削って・・・。という悪循環に陥ります。無知からくる善意は時として悪意より厄介なのです。その最たるものが放射能の風評被害です。

以下、口腔顔面痛の関連エントリーです。
非歯原性疼痛
神経障害性疼痛

ところで上のイラストは、ヒューマン・アナトミー・アトラスというソフトで書きだしたものですが、患者さんへの説明に解剖図が必要な時にはとても重宝します。ご同業の方には強くお奨めします。これはご自由にスルーできる私からの善意です(真顔)。