根管内破折器具除去(その4)

根管内破折器具除去(その3)はこちら。

根充しました。

近心根はイスムスで繋がっていました。なのでレントゲン上では拡大しすぎのように見えますが実際はそうでもないのです。レントゲンの撮影角度に依るものです。勿論抜髄根管に比べれば拡大しています。

治療費は
感染根管治療(3根管)¥100,000
破折ファイル除去   ¥50,000
CT撮影と分析       ¥15,000
別途消費税をいただきます。
コア除去(根管3分の1以下)、隔壁形成、麻酔、レントゲン撮影は無料です。
私は歯内療法の指導医でも認定医でもありません。それでも保険点数の10倍。負担金だと30倍程度にはなります。
その後のクラウンも保険は認められません。
それでもトータルでは抜歯してインプラントにしたり、ブリッジにするよりは安価です。

リクッチのエンドドントロジー

最近まめにブログを更新しています。そろそろ飽きてくる頃です。今回は歯科医師向けです。

人目に触れるところですので、それなりに間違いの無いように気を使って書くようにしています。とくに歯内療法関連で書くことが多いので、目に付く書籍はできる限り購入して読むようにしています。商業誌はそろそろ定期購入はやめようかと思案中。殆ど読み飛ばしているので30分程度で読了してしまいます。お金ももったいないし、ゴミの処分が大変です。以前処分したら数百キロありました。

今年の春、この本が出ました。テクニック的なことは殆ど書かれていません。器材に至っては一切書かれていません。ですから、治療技術の向上に役立つかといえばそれはありません。でもその類の本は数多あります。これは技術書ではありません。「確固たる生物学的基盤に基づいた臨床歯内療法のアトラスでもあり教科書でもある」と序文にも書かれています。

私が染色するのはブラッシング指導の際のプラーク染め出しと、むし歯の染色と、歯の破折線を見やすくするメチレンブルー染色と、白髪染めだけですが(^^;)、この本はリクッチ先生の切片標本の染色の美しさを見るだけで価値があります。


リクッチのエンドドントロジー

開かない根管

抜髄根管ではありませんが、感染根管の再治療の場合は根尖孔まで治療できないことが希にあります。「根管が石灰化していて閉鎖していて開かない」と良く聞きますが、それは大抵言い訳です。もしそうなら根尖病変はどうしてできたのでしょう? 本当に閉じているなら細菌は根尖に到達できないはずです。治療で到達できないのは殆どの場合歯科医にテクニックがないからです。実際にはそんなに単純ではないのですけど・・・


術前。根尖に透過像。サイナストラクトもあります。

 


根尖まで器具が届きません。レントゲンで計測すると2mmくらい根尖の手前です。ですが、サイナストラクトは消失しました。


根充後。当然ですが拡大できた所までしか根充できません。それでもたぶんこの症例では治癒すると思います。サイナストラクトが消えたということは、何らかの原因除去が奏効している可能性があるからです。
それでもダメなら外科処置(マイクロエンドサージェリー)を選択することになります。しかしそれは充分な経過観察の後に行うべきです。