後ろに引っ込んでいる前歯を前に出す

真ん中から二番目の歯が後ろに引っ込んでいるのを矯正無しで前に出す。これを可能にするBTAテクニックという手法があるのですがいちどレジンでシミュレーションしてみるのが良いと開発者の坪田先生にご助言を頂きました。

歯肉を切除してそこにコンポジットレジンを盛り上げてみました。そして患者さんはその結果に満足してしまいました。BTAでは歯肉と補綴物が緊密に接してシールドされた状態になるのですが直接口の中でレジンを盛り上げた基底面をそこまでコントロールするのは至難の業です。ですのでこの方法はBTAの邪道です。しかし術後の歯肉に炎症像はありませんでした。レジンはジャイオマーです。
BTAはマージン形態が重要なのですが後日行った形態修正と研磨の際にアウターマージンはやはり粗造なので削って歯冠とフラットな形にしました。この段階で完全にBTAではなくなりました。形態も歯の軸が前に傾くのであまり良いとは言えません。もっと根元が前に出ていた方が自然です。でも患者さんは満足しちゃってます。じゃあこれで良いかとなりました。患者さんは身内のような方なのでテストケースです。経過を追ってみようと思います。

外部吸収のあったエンドペリオ病変の27ヶ月経過

上の動画のケースです。
下は着手前のCT像(その他の画像と比較しやすいように反転しています)
遠心にサイナストラクトがあり近心根には深いポケットがありました。近心根は歯根2/3辺りに外部吸収がありそこから出血と排膿がありました。その先は穿通できませんでした。遠心根は穿通できました。
下が根充後です。

3ヶ月後 サイナストラクトは消えています。不快症状は消えました。機能的に問題はありません。遠心は骨の回復があるように見えますが近心根の不透過増はあまり変化がないように見えます。

27ヶ月後 不快症状はありません。機能も正常。骨は随分回復してきているように見えます。近心根にあった深いポケットは消えています。
根の病気は100%ではありませんが基本に忠実に施術すれば根尖まで拡大できなくても治ります。特別のことではありません。

何度も外れてしまうラミネートベニアの咬合調整

他院で治療されたラミネートベニアが何度も取れてしまって不安とのことで来院されました。来院されたときは外れていないので中がどんな状態なのか解らないのです。どんな接着を行ったかも解りません。
よく観察すると隣の歯の先端が細かく欠けています。そして顎を前に出した際にラミネートの部分だけが接触しています。ここを調整すれば脱離のリスクが減るのではないかと提案し、咬合調整を行って経過を診ることにしました。

どんな接着を行ったか解りませんとは書きましたが、はみ出したセメントが隣の歯との間を埋めていてフロスが通らない状態でした。推して知るべし・・・ かなぁ。