7年経過したダイレクトボンディング

治療後7年経過したダイレクトボンディングのケース。レジンが少し摩耗していますが問題は無いと思います。小さい修復のように見えるかも知れませんが歯肉縁下に及ぶ割と大きなむし歯でした。動画も画像も残っていない(と思う)ので説得力は無いですけれど・・・

下の画像をクリックすると木田歯科医院のYouTubeの動画をご覧になれます。

前歯の真ん中の隙間を歯を削らないで直接埋める

前歯の真ん中の隙間を埋めるダイレクトボンディング。この方法の最大のメリットは歯を全く削らないということに尽きます。外れてしまっても元に戻るだけです。削ってしまえば外れたらその後はどんどん悪くなってしまいます。他にもやり方はありますが全く何の手も加えていないこの歯を削るのは臆病な私にはちょっと無理です。

矯正治療という方法も勿論ありますが、真ん中の隙間以外はほぼ完璧な歯列と咬合を矯正で複数の歯を移動させて同じレベルで再構成するなんてできるのでしょうか? この綺麗なケーナインガイダンスを担っている犬歯を移動させて今と遜色の無い機能を与えるなんてできるものなのでしょうか? 数十年前に矯正の卒後研修に2年間通った私の感覚としてはそんな繊細なコントロールがワイヤーとブラケットでできるとは思えないのです。ましてアライナーなんて・・・。学んでいない者が想像で書いているようなモノなので読み飛ばしてください。

さて直接詰めるといってもそれなりの準備は必要です。

型をとって模型上で盛り上げます。ここで重要なのはど真ん中を決めることです。デバイダーを使ったり光で透かしたりして慎重に決めます。

これをシリコンで型取りします。ここにレジンを盛って裏打ちを作ることによってその後の治療を格段に確実に進めることができるようになるのです。裏打ちをバックウォールといいます。

私は奥歯のダイレクトボンディングでは色合わせ等に神経を使うようなことはしないのですが、前歯ではそういうわけにはいきません。今回は3色を積層しています。

外れてしまったレジンを詰めなおす

とても低侵襲で上手だったであろうコンポジットレジンが外れてしまったので再治療しました。何十年も経過していると思われますが最初の治療がいかに重要かを如実に表していると思います。ほんの少し切削範囲が広がりましたが詰めやすいからという理由で唇側から削るような事は厳に慎まなければなりません。この充填も高い確率で数十年はもつと思います。前医から上手くバトンを繋げたと思っています。そもそもこの小さなむし歯が治療に介入する必要があったのかという疑問は歯科医師にはあるでしょうが、予防のために通院し続けるコストと時間を患者さんはこの処置によってカットできていたのは事実です。