1本の歯に4カ所の充填

幼稚なイラストですが黒丸がむし歯だと思ってください。重要なのはそれぞれが独立して存在しているところです。これを間接法、つまり型をとって模型上で修復物を作って歯に着けるという治療法で行うと下の画像の様に健康な部分も削らなければなりません。黒い部分が削られた部分です。これはデジタルだろうがアナログだろうがセラミックだろうが金属だろうが同じです。一塊の修復物を嵌めてくっつけるわけですからそうせざるを得ないのです。

直接修復はこの縛りを受けません。悪い部分だけ削ってそこを埋めて固めるという修復方法だからです。どちらが優れているというような単純な話ではありません。要は適材適所です。

1本の歯に4カ所の問題があります。治療の介入が必要だと思ったのは銀歯が詰めてある境目のところです。こういった部位のむし歯は一気に深く進行することが多いのです。

奥側と手前のむし歯は静止状態にあるようにも思えたのですが治療に介入する以上、手を付けても良いと判断しました。もう1カ所欠けている部分がありますが、ここは削らずに充填だけ行うことにしました。奥の部位はラバーダム下での治療は色々工夫しましたが断念しました。根管治療の際のラバーダムなら簡単なのですがこういった治療のラバーダムはなかなか難しいのです。頬を排除する為にクランプだけは掛けています。切削音が違うのが解ると思いますが回転では無くて振動で削っています。最小限の切削充填を実現する為には道具は膨大な種類が必要になります。

不適合なセラミックインレイ

大きな段差がついています。コンポジットレジンかと思って除去を始めたらセラミックのインレイでした。この治療は保険診療ではなかったということです。

ダイレクトボンディングで詰め直しました。

欠けてしまったセラミックインレイの再治療

欠けて外れてしまったセラミックインレイの再治療です。インレイというのは歯科専用用語ではなくてはめ込み細工のことで、ギターを弾く方なら解ると思いますがネックの部分に貝などで装飾されているあれです。因みにボンディングとは接着や結合という意味の言葉で、ダイレクトボンディングとは直接接着ですね。ですからダイレクトボンディングレストレーションというのが正しいのかもしれません。直接接着修復ですから。
インレイは型を取って模型上で作って歯に接着しますがダイレクトボンディングは口の中で直接詰めます。どちらにも利点欠点があります。

オレンジ色の部分は他院で行われた応急処置の仮詰めです。向かって左の歯にはセラミックインレイが装着されています。上手な治療です。

青い線の部分にインレイの一部が残っています。

拡大しました。青い丸の中にクラック(ヒビ)が見えます。ここは要注意です。多くの場合この下にはむし歯ができています。このケースでもありました。

動画でその様子をご覧ください。

 

治療後です。隣のセラミックインレイより綺麗で良いと思うでしょうが、治療直後と比べても無意味です。