前歯の白濁を削らないで治す方法

前歯に詰めたコンポジットレジンの変色と辺縁の漏洩です。

青で囲んだ部分がそうです。研磨で治せる場合もあり詰め替えが必要な場合もあります。セラミックと違いコンポジットレジンは永久に変色しない材料ではありませんが、ちゃんとやれば簡単に着色するようなことはありません。

今回はその話ではなく赤く囲んだ部分のことです。

この部分は治療の跡ではなく白濁しているのです。この部分を削らずに治す方法があります。ICONという材料を使います。わかりやすい動画があったのでご覧下さい。

実は私もまだ施術したことはありません(汗)。ただ見たところテクニックに難しいところは全く無いようですので機会があれば限られたケースでお引き受けします。

基本的に私はドッグベストセメントや3MIXに代表される「歯を削らないで治す。むし歯を残して治す」という方法を信用しておりません。またいちばん上の画像で紹介したケースでは既に修復がなされており、再修復するのなら白濁の部分まで削り込むことに大きなデメリットは無いとも思えるので、ICONを使うかどうかは迷うところでしょう。限られたケースでというのはそういう意味で、どんな治療方法も適材適所に行うことが患者利益に繋がると考えています。

昨日まで何ともなかったのに突然大きなむし歯ができたという謎に答える。

むし歯はある日突然できるわけではありません。ところがある日突然穴が開いたと感じることがあります。
歯と歯の間(隣接面)にできたむし歯は上から穴が開くのではなく、横から侵攻するので気がつかないのです。で、ある日天井が落ちるように咬む面が崩れ落ちて自覚できる穴になるわけです。そうなるまで自覚症状はないことが殆どで、したがってそうなってしまう前にむし歯を発見するのは歯科医に依ることになります。

ではどうやってこのむし歯を見つけるのか。レントゲンは有用ですが全てが写るわけではありません。擬陽性は出づらいのですが偽陰性はあります。下のパノラマレントゲンという全体を撮影するレントゲンは当てになりません。デンタルレントゲンという小さな範囲の特殊な撮影方法が推奨されています。

パノラマレントゲン よく見えません

私はマイクロラックス2というピンポイントの強力なライトを歯の側面から当てて、ルーペやマイクロスコープで観察するということをします。透照診といいます。

しかしさらにそこから治療に介入すべきかどうかという問題もあって「う〜む」と考え込んでしまうことも多いのです。う蝕治療ガイドライン
このケースは立派なむし歯の確信がありましたから迷わず介入です。

動画をご覧下さい。青のむし歯の染め出しは5回以上は繰り返しています。

当院は予防を中心においた歯科医院ではなくあくまでも治療をメインにした医院ですので、長期にコントロール下に患者さんを置くということが無くそこは弱点かも知れません。巷間に溢れるなんちゃって予防ではなくちゃんとした予防の話です。