ダイレクトボンディング

ダイレクトボンディングでまん中の隙間を埋めた症例です。
通院回数は2回。1回目で型を採って治療用の治具のようなものを作り、2回目でレジンを盛り上げていきます。2回目の治療時間は100分程度です。
歯は全く削っていません。それが最大の利点。欠点は経年的に継ぎ目が着色したり変色したりすることです。
もし外れても元に戻るだけです。歯科治療には珍しい可逆的な治療なのです。若くてむし歯の無いこの歯を隙間を埋めるために削ってしまうのは、私の治療の選択肢にはありません。
むし歯ではありませんから、この治療は保険では認められていません。保険外の自由診療です。この症例では約8万円です。

術前

術後

専門的にはもう少し上部鼓形空隙を大きく取った方が良かったかも知れませんが、まあ歯医者の自己満足でしょう。ほぼ全ての患者さんが、治療を終えて鏡を見た時あまりの変化にビックリされます。

歯肉縁下から立ち上げることでブラックトライアングルを消すのですが、この方のように歯間乳頭にボリュームがあると、左右から押し気味に充填することによって、その形態を変えることができます。逆にここが凹んでいるとこのような形にするのは大変難しくなります。歯肉を剥離して充填したくなります。そのような術式は寡聞にして存じませんが現時点ではたぶん無いと思います。いずれ出てくる術式だと予言しておきましょう。

使用したコンポジットレジンはグラディアダイレクトその他。カラーはAO2、AO3、A2、E3、CVTを使用しました。バッキングにオペーク色を使い、暗い口腔内を透過させないようにします。

必須ではないと思いますが、治療に拡大鏡やマイクロスコープはあったほうが良いと思います。けっこう難しいんですよ。

歯牙形態

臼歯ダイレクトボンディングの参考書として購入しましたが、なんと上顎中切歯の形態だけしか掲載されていませんでした。表紙を見て内容の確認を怠った私が悪い。お世話になっている技工所さんにプレゼントです。

 

 

 

メタルインレイ

むし歯があると、こうやって治療すると教わったのが40年前。
ブラックの窩洞条件というのを暗記したものでした。

適切な窩洞形態
充分な保持形態
充分な抵抗形態
必要な便宜形態
正しい窩縁形態

接着という概念がなかった時代には仕方がなかったのかもしれませんが、マテリアルは進化しているのです。

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下の赤い線で囲まれた歯は上の写真と同じように治療されていたのですが、外れてしまったのでレジンで治療し直しました。
当院ではメタルインレイの治療はよほど歯冠崩壊が進んでいない限り殆どしません。
メタルインレイは、小さなむし歯でも同じように大きく削らないと成立しません。インレイの形がどれも同じようなのはそのせいです。同じような形のむし歯を治療したわけではないのです。

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