BTA(Biological Tissue Adaptation) テクニックで前歯のセラミッククラウンの問題点を解決する

せっかくセラミックで被せたのに歯茎が下がって歯根が露出してしまったり、歯肉がブヨブヨして良く血が出たりする。こんなケースです。

奥に引っ込んでいた側切歯にセラミッククラウンが被せてありましたが赤く腫れ気味で簡単に出血する非常に不健康な歯肉です。

外して仮歯に交換します。その際に歯肉を電気メスで切除しています。調整前の仮歯ですが特種な形態をしています。下の青い線で囲んだような形に調整します。

仮歯を付けたところ。次のアポイントで印象をとりました。

模型に嵌めたできあがったBTAクラウンです。向かって右側が唇側(見える側)です。出っ張った部分が歯肉に接してマージンをシールドします。B.O.P.T.に形態は似ていますがバーティカルプレパレーションは行っていません。この辺は専門的なことですので患者さんにとってはどうでも良いことです。

装着直後の状態。セメント除去で出血しています。

約2週間後。下の術前と比べてみてください。引っ込んで短かった歯の形態がずいぶん改善していると思います。そして歯肉はとても健康な状態になっています。この状態が長期にわたって維持されるのがBTAです。

臼歯に於いても応用が可能で臼歯の複雑な歯根の形態をある意味リセットできるので、とても有用なテクニックだと思います。そしてまた大きな利点は患者さんへの侵襲が非常に少なく、治療期間も短いということです。

下の画像をクリックすると木田歯科医院のYouTubeの動画をご覧になれます。

差し歯の根元が露出して黒い

入れたときは綺麗でもだんだん歯肉が下がって根が露出してしまうとこうなってしまいます。私の知る限りではこれを回避する、あるいは改善する方法には、Dr.行田の接合上皮内マージン、Dr.坪田のBTAテクニック、Dr.LoiのB.O.P.T.があります。
で、これはただの自慢ですがDr.行田は大学時代の部活の先輩、Dr.坪田は大学の医局の先輩でした。今でもこちらから一方的に親しくしてもらっています。Dr.Loiは見ず知らずの赤の他人なので(^^;)、日本で公認のコースを受講しました。

上のケースの治療後です。セット当日の写真なのでセメント除去で少し出血させてしまいましたが、その後の経過は良好です。まだ1年くらいですから当たり前ですね、

セラミックインレイは難しい

部分的に詰めたセラミックを長期的に保たせるのは難しいです。咬合面(歯がかみ合う面)に境目があると欠けてしまうことが多いです。どんな治療方法にも利点と欠点があります。保険診療は決められた材料と方法に従って行われるので選択肢は限られるのですが、自由診療にはそれがありませんから十分に説明を受けて納得の上で治療方法を選択しましょう。

動画ではインレーを外した後に隣の歯の変色した部分が現れてきますが、ここは精査の結果治療しないことを選択しました。非活動性のう蝕という判断です。一度も治療したことの無い歯では着手するかどうかは慎重に判断します。