何度も外れてしまうラミネートベニアの咬合調整

他院で治療されたラミネートベニアが何度も取れてしまって不安とのことで来院されました。来院されたときは外れていないので中がどんな状態なのか解らないのです。どんな接着を行ったかも解りません。
よく観察すると隣の歯の先端が細かく欠けています。そして顎を前に出した際にラミネートの部分だけが接触しています。ここを調整すれば脱離のリスクが減るのではないかと提案し、咬合調整を行って経過を診ることにしました。

どんな接着を行ったか解りませんとは書きましたが、はみ出したセメントが隣の歯との間を埋めていてフロスが通らない状態でした。推して知るべし・・・ かなぁ。

超音波ダイヤモンドチップで形成

歯を削るドリルはダイヤモンドの粒を貼り付けたものが多用されます。こんなのです。日向和田精密製作所さんのHPからお借りしました。日向和田精密製作所のバーはマイクロスコープ治療には欠かせないものがたくさんあって愛用しています。今は殆ど使わなくなりましたがJ.H.エンドバーは大学卒業当時から使っていました。これは回転させることによって切削します。

これとが違って振動させることによって削る方法があります。効率は悪いのですが回転切削器具にはない利点があります。そのひとつが硬いものしか削れないということです。歯肉に触っても歯肉はほとんど傷つかないのです。

下の動画では歯肉の下を削っていますが回転切削器具でここを削る際は圧排という歯肉をどけておく必要があります。最終的には圧排は行うのですがそれでも傷が付きにくいということは随分楽なのです。今までも色々なチップを使ってきましたが今回導入したチップは形状といいハンドリングといい切削能力といい手放せない機材になりそうです。

歯肉縁下のデジタルスキャン

デジタルスキャンに関してずいぶん前にはこんなことを考えていました。

最近は80%くらいはデジタルスキャンのみでカバーできるようになっています。それがその歯にとって初めての修復処置であれば、ほぼアナログ印象なしでいけると思います。ただクラウンの被せ直しのように既に削られていた歯の場合はそうはいかないことが多くなります。すべての歯科治療に於いて再治療は初めての治療の何倍も難しくなります。難しくなれば当然成功率も低くなります。最も効率的なのは一回目の治療に最善を尽くすことです。

不適合なセラミッククラウンのやり直しのケース。歯肉の中深く削ってあって歯肉には強い炎症があり腫れていました。なんとか歯肉をコントロールしましたがデジタルスキャンは最初から諦めて、ダブルコードを挿入して塩化アルミニウムペーストも使ってシリコン印象をしました。

その後スキャンしたのが下の画像です。

思ったより撮れてました(採れてたと書くべきなのかな?)。その気でやればデジタルだけで行けたかも知れません。数年前とは違ってやれるものなら全てデジタルでやりたいと今は思うようになりました。少数歯の修復ならアナログに勝ると実感しているからです。

下の写真はセット直後。左右の歯肉ラインが不揃いですが、気にするというご希望はありません。セメントアウト直後なので少し出血しています。モノリシックジルコニアですが細かいディティールもかなり表現できるようになってきています。全ては歯科技工士の技術で私が何かやってるわけではありません。私は正確な型取りと情報を技工所に伝えているだけです。
正面からだとストロボの影響で見えづらいので側方からの画像を露出を変えて載せておきます。マメロンも行けそう。