樋状根のこと

下顎の7番のトラブルは樋状根という特殊な根管形態の場合が多いです。樋状根の出現率は3割程度とされています。
抜髄なら感染さえさせなければ大丈夫だと思いますが、感染根管の再治療はそれなりの道具が無いと難しいと思います。勿論テクニックも。

下の写真が樋状根ですが、「根管」よばれるような管ではないことが解ると思います。

管ならこんなドリルで拡大形成することはある程度は可能ですが、このような溝のようなところにドリルを入れても無駄です。空振りするだけですね。

神経を抜くのはごく一般的に行われる治療ですから簡単に思われるかもしれませんが、実はとても難しい治療なのです。ただ漫然と行ってもある程度は成功するのも確かで、トラブルが出て初めてそれに気がつくということになるのは仕方のないことだと思っています。

根管充填

このケースです。

抜随後は完全に不快症状は消えたそうです。クラックによる歯髄炎は自信を持って確定診断をつけるのはなかなか難しく、治療後の症状の経過でハッキリするということがあります。つまり診断は当たっていました。

2回目の治療でガッタパーチャで根管充填しました。あまり抜随(神経を抜くこと)は私の臨床では多くないのでガッタパーチャでの根管充填もあまりありません。25番の04テーパーのポイントです。

MB2の存在の雰囲気がプンプンしたのですが見つかりませんでした。根管充填まで90分程度でした。

クラックによる歯髄炎

上顎7番。クラックからの感染と思われる歯髄炎です。症状的には生活歯髄療法(神経の一部を残す治療法)も可能だったのですが感染経路を考えるとリスクがあると考え抜髄しました。40年ほど前の治療だったそうです。ブラボーです! 完全にむし歯を取り除いて精密な治療をすれば長持ちするんです。根本的なところはずっと以前から変わりません。ヒビが入ってしまったのは仕方ありません。

歯髄腔が狭窄しており根管口も細くなっていました。顕微鏡下じゃないと無駄な切削をしない治療は難しいと思います。上顎7番はラバーダムが掛けづらく、掛かってもズレたり外れたりしやすいので、クランプをコンポジットレジンで固定します。これは案外重要なポイントです。とにかく何としてでもラバーダムを掛けないと根管治療は始まりません。