根尖病変と歯性上顎洞炎

上顎洞炎が歯の所為(歯性上顎洞炎)の確立は2~30%はあるようです。蓄膿症の原因が歯にある場合は歯を治さないと治癒しないということですね。

以下はフローチャートです。

【患者主訴】
  ↓
片側の頬部痛・鼻づまり・膿性鼻汁・咬合痛あり
  ↓
【口腔内診査】
・上顎大臼歯の根管治療歴あり?
・根尖病変の存在?
・瘻孔や腫脹の有無?
  ↓
【画像診断】
・デンタルX線:根尖透過像
・パノラマ:上顎洞底の混濁 or 嚢胞様変化
・CBCT:根尖と上顎洞の接触/穿通、粘膜肥厚
  ↓
【判断】
◎ 原因歯が特定でき、上顎洞粘膜肥厚あり → 歯性上顎洞炎の疑い濃厚
◎ 両側性・原因歯が不明 → 鼻科性 or その他
  ↓
【対応】
・根管治療または抜歯で感染源除去
・必要に応じて耳鼻科へ紹介(穿刺・内視鏡下手術など)

ただ確定診断は難しいです。歯の所為では無い上顎洞炎も多く存在するからです。根の先に膿が溜まっていればその歯を治療する必要があってそこに迷いはありませんが目的が上顎洞炎の治療となると「やってみないと解りません」という煮え切らない答えしかできないのです。上顎洞が健康状態になれば歯性上顎洞炎だったということになります。

このケースです。約10ヶ月経過です。強い痛みがあった上顎7番の急性根尖性歯周炎でした。上顎洞の症状はありませんでしたが今にして思えば含気性の組織液の排出は上顎洞からのものだったかもと思ったりしています。鼻をつまんで息を吐くように(耳抜き)してもらえば確認できたと思います。今度同じようなことがあったらやってみます。

 

術前CT 画像クリックで拡大します。

緑の線が病変 画像クリックで拡大します。

術後 病変は明らかに縮小しています。画像クリックで拡大します。

赤い線は上顎洞底の肥厚 上が術前 下が術後
肥厚は消えています。
画像クリックで拡大します。

頬舌側にサイナストラクトがありクラックもある下顎大臼歯のクラウン・コア・ガッタパーチャの除去

ChatGPTはこう返してきました。

頬側・舌側両側にサイナストラクトがあり、さらにクラック(歯根破折を含む可能性)がある下顎大臼歯については、非常に予後不良な兆候が揃っており、基本的には保存困難であることが多いです。

ごもっともな話ですが結構残せるんですよ。ただ一生持つなんてことは口が裂けても申しません。どの位持つんですか?と訊かれれば解りませんとしか答えられません。抜歯してインプラントというのもアリだと思います。

抜歯か否かの選択基準は歯科医師によって大きく差があります。

珍しい上顎第一小臼歯三根管の感染根管治療

ChatGPTに訊いてみました。
上顎大臼歯の根管数は?

■ 上顎第一大臼歯(Maxillary First Molar)
• 根の本数:3根(頬側2根+口蓋根)**がほとんど
• 根管の本数:4根管が最多
• MB1(近心頬側主根管)
• MB2(MB1と同じ根にもう一本ある)
• DB(遠心頬側根)
• P(口蓋根)
4根管:約60〜90%
3根管:約10〜40%
→ MB2(第2近心頬側根管)は見落とされやすく、存在率は**高頻度(最大90%近く)だが、臨床での発見率はそれより低い。

■ 上顎第二大臼歯(Maxillary Second Molar)
• 根の本数:3根が多数(約90%)
• 根管の本数:
• 3根管:約50〜80%
• 4根管:約20〜50%
• 2根管または1根管:まれ(癒合根やC字根管の場合)
MB2の存在率は第一大臼歯よりやや低く、約30〜50%**程度。

ちょっとオーバーなような気がしますがともあれ上顎大臼歯は4根管だと思って治療する必要があるわけです。ですが4根管の治療が成されている確率は多くても数%だと思います。私の今までの再根管治療歴では一度も見たことはありません。なので私が未処置の根管を見つけることは頻繁にあります。

さて上顎小臼歯の根管数は?

■ 上顎第一小臼歯(Maxillary First Premolar)
• 3根管の存在率:0.5〜6%程度
→ 最も多いのは2根管(約80〜90%)、1根管は10〜20%程度。

■ 上顎第二小臼歯(Maxillary Second Premolar)
• 3根管の存在率:非常に稀で、0.3%以下という報告も
→ 大半が1根管(約50%)または2根管(約50%)。

さて本題ですが今回の上顎第一小臼歯の根管は綺麗に3本でした。初めての経験です。綺麗に3本でしたがとっても汚れていました。