前歯のメタルボンドブリッジ(その2)

この症例をセットしました。
真ん中のブラックトライアングルを消すことも可能ですが、仮歯の段階で必要が無いと判断しました(見えない)。時間が経てば消えることもあります。

4ヶ月後の追記:かなり消えつつあります。こちらです。

きちんとステップを踏んで治療を進めると、殆ど無調整でセットできます。仮歯を外して歯面を処理してセットしてセメント除去までで30分でした。
元の自分の歯のようだと喜んで頂くのは、術者としては嬉しいものです。期待以上の結果を出すのが目標で、患者さんに鏡を渡して見て貰う時の私はドヤ顔になってると思います。特に前歯部の補綴は患者さんとの勝負です(笑)。

 

 

 

メタルボンドブリッジ(3 Incisor)

術前。左上2番の先天欠損と右上3番の欠損で、右上はブリッジが入っています。
前歯を綺麗にしたいというご希望です。

画像を加工して患者さんにイメージをつかんで頂きます。

通常犬歯と犬歯の間には4本の歯があるわけですが、ここに3本しかないために隙間ができています。少しずつ歯を大きくしてスペースを埋めます。上のシミュレーションの画像のようにダイレクトボンディングで治療することは可能ですが、はたしてこれが患者さんが望むカタチなのかどうかが問題です。この画像をお見せして考えて頂いた結果、患者さんは右上のブリッジまでやり直してメタルボンドで補綴するという方法を選択しました。ただし、2ヶ所の隙間を埋めるためにブリッジを再製し4本の歯を削るわけですから(そのうち2本は手付かずの歯です)、デメリットも十分説明し患者さんの意思決定をミスリードしないようにしなければなりません。当然デメリットがメリットを大きく上回る場合は希望されてもお断りします。
因みに下の前歯が重なって生えている場合に、1本抜いて矯正で並べる方法があるのですが、これをスリーインサイザー(3 Incisor)と言います。

仮歯を入れて患者さんの希望を聞き、試行錯誤で形態を決めていきます。その形をコピーして最終補綴物を作るわけです。唇との調和などは技工所では知り得ない情報ですから、仮歯の情報は貴重なのです。型を採った後は技工士さんの技術です。技工士さんの技術を引き出すためには精密な印象を渡さなければなりません。

セット直後。

 

約4年経過。犬歯の先が少し摩耗、あるいはチップしていますが全体として安定しています。おそらくメリットがデメリットを上回っていると思われます。

 

 

 

三種類の三根管

上顎6番。長期にわたって何の違和感も無く、レントゲンでも異常は認めなかったので根管治療の必要は無いと診断してレジンでコアを築きました。勿論ラバーダム下です。当初は何の問題も無かったのですが、最近になって打診痛が出てきてしまいました。まだ仮歯の状態です。

最終補綴物が入る前だったので、むしろ幸運です。このブログでも根管治療のことをよく書いているので、私を根管治療に積極的な歯科医師だと思われるでしょうが、そんなことは全くなく着手するにはかなり慎重です。何でも無かった歯を(そんなことはないと思いますが)レントゲンを見て治療されて、それから痛みが出て最終的には抜くしか無いと言われたということで来院される方は少なくないです。そういう場合は今まで治療していた歯科医師にとっても患者さんにとっても非常にストレスになります。

さて、治療動画です。3根管ですが、未処置、石灰化で開かない、ガッタパーチャで根充済みと、1本の歯で3種類の根管を持っています。

感染している感じが希薄なので(汚くないし臭くもない)少し変な感じなのですが、教科書通りにやるしかありません。