CTG( Connective Tissue Graft )

状態が悪い歯を放置していてその後抜歯になると、周囲の歯肉が大きく陥没してしまうことがあります。こうなってしまうとブリッジの形態が不自然になってしまいます。


陥没してしまっています。

この状態で仮歯を入れるとこんな形になってしまうのです。
ちょっと強調してますが・・・

口蓋の粘膜を開いて、その下にある結合組織(肉)を採取してそれを陥没した部分の歯肉の中に埋め込みます。

採取して縫合を終えたところ。1週間程度で元通りになります。上皮が残っているので治癒が速いのです。ただし上皮が必要な手術もあります。

 

一度では足りなくて二度行いました。なおこの頃はこのような編み込んだ糸を使っていましたが現在は縫合はすべてナイロンのモノフィラメントの糸を使用しています。

まだ少し足りないです。本当は後の吸収を考慮して少し多めにボリュームを確保しておきたいのですが、患者さんも術者ももういいやと共に妥協して(笑)、少し経過を待ってセットしました。
以上、ホームページにも記載されているのですが、先日来院されました。

8年6ヶ月経過。レジン前装冠は艶もなく特にマージン部は吸水して変色してしまっています。積極的に歯肉の下にマージンを持って行きたくないので、経年変化で露出してしまいました。CTGで盛り上げた歯肉は安定しているようです。レジンは炎症を起こしやすいマテリアルなので、歯肉炎気味の肥厚なのかも知れませんが、出血も発赤もないので今のところ臨床上の問題はありません。歯肉に少し瘢痕が残っています。

時々CTGの提案をしていますが、そこまで必要無いと仰る患者さんが殆どです。現在は補綴物が保険外の方にのみ行う治療です。

 

 

石灰化した歯髄


歯髄に達するむし歯です。痛みもありますから神経を抜きます。上顎第一大臼歯ですから通常3根です。

 


赤い線は頰側根の歯髄腔ですが、青い円の中の口蓋根の歯髄腔(神経の入っている根の中の空洞)がよく見えません。

 


抜随すると口蓋根管の中からこんな歯髄が出てきました。生活歯髄です。半分石灰化してます。堅いです。

歯髄の石灰化については諸説あるようですが、これは第三象牙質(病的第二象牙質)なのだろうと思います。専門書にはスイスチーズ様の構造を示すと書かれていますが、スイスチーズの構造を知らない(笑)。

この症例ではこれがスポッと抜けてきたので治療がやりにくくなるという程のものでもなかったのですが、これが根管内に残っていると何故か電気根管長測定器が非常に不安定になります。