上顎第一大臼歯5根管

上顎第一大臼歯は一般的には3根管、つまり神経は3本とされています。しかし実際にはMB2(近心頬側第二根管)と呼ばれている根管が良く見つかります。珍しくありません。
この症例でもそうだったのですが、更に治療を進めるともう1根管発見しました。つまり5根管ということです。偶々見つかりましたが、たぶんこんな根管を持つ歯はたくさんあって、難治性であったり、予後不良であったりするのはこういうことが原因なのかも知れません。実際この歯は咬合痛(咬むと痛い)が消えなくて、苦労しています。咬合痛が消えないなんてここ10年くらい全くなかったのですが・・・

ちゃんとセオリーに則った治療をしても上手くいかないことが、根管治療にはあります。逆に言うと、セオリーに則ってない治療によって出たトラブルに対処するのは簡単なのです。

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下の写真の、赤丸で囲まれた部分が根管口です。マイクロスコープからモニタに出力して、それをカメラで撮影した画像なので、モアレも出て酷く不鮮明ですが、実際にはクリアに見えています。

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上顎総義歯の印象

今まで使用していた義歯を改良して、その義歯を使って印象(型を採る)するという方法があります。院内に技工士さんが居ないと技工操作に時間が掛かって大変なのですが、技工用のシリコンを使うと作業は格段に楽になります。
上の写真がシリコンの模型で、下が精密印象です。

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臼歯ダイレクトボンディング

大臼歯の隣接面を含む充填には、様々な道具を使います。
ラバーダムを掛けるのが難しい歯の形態でしたので、シリコンのチューブを入れて
唾液の滲入を防いでいます。
黄色いゴム紐がこの症例では重要です。

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充填してオレンジ色の器具を外したところ。このゴム紐が隣接面歯肉縁下へのレジンのはみ出しを防いでくれます。はみ出したレジンは歯肉炎を起こします。

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ウエッジというのですが、歯の形態によって何種類も使い分けます。

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私がマイクロスコープを診療に取り入れて10年になりますが、導入前に受けたマイクロスコープの講習会で、このゴム紐と、ストリプスを教わりました。
三橋純先生という、マイクロスコープのエバンジェリストの講習会でした。