歯を削らない接着ブリッジ

この欠損をどう治療するか?
インプラント、ブリッジ、入れ歯の三択です。
入れ歯はあまり選択されません。インプラントにするなら骨増成が必要です。

デジタルシミュレーションです。

ブリッジが無難なのですが下の画像をご覧下さい。

赤丸の中の歯並びがブリッジの障害になります。ブリッジのために歯を削ると神経を抜かなければならなくなる可能性が非常に高いのです。下の写真の赤い部分が神経ですがはみ出しているのがわかると思います。
それを避けるためには矯正治療を事前に行うことですが患者さんはそこまではご希望になりませんでした。そしてなるべく侵襲の少ない治療法をご希望になりました。それそれの治療法のメリットとデメリットを可能な限りバイアスを排除して説明した結果、接着ブリッジを選択することになりました。

印象(型取り)はとても簡単です。歯肉の下に歯と被せ物の境目が来る場合は光学印象(スキャナで行う型取り)だけでは無理な場合もあるのですがこういったケースではそのような問題はありません。下の模型はネットで送ったデータからラボで3Dプリンターで「印刷」された模型です。ピンクの部分はガム模型と言ってゴムのような材料で歯肉を再現しているのですがこういった手間を惜しまない仕事が結果を生みます。

できあがったブリッジ。赤いのは位置決めのジグです。

このようにして装着の際に使います。

セット後。接着命なのでとても気を使います。使用した接着剤はパナビアV5というレジンセメントです。
強烈に乾燥させているので周辺の歯が白くなってしまっていますがこれは時間をおけば戻ってきます。

どんなケースにも適応する方法ではありません。また通常のブリッジに比べて脱離のリスクは高いと思います。したがってトラブルが起こった場合の対処法は事前に文書で取り交わしておく等の配慮が必要です。ラボ(技工所)には着手前にデータを送ってこの術式が可能かどうかの確認をしておく必要があります。

ジルコニアという丈夫な材料と接着剤の進歩によって可能となった方法です。ですがくどいようですが万能ではありません。
もっとも歯科治療に万能な方法なんてどこにもないのですが・・・

アイボリーセパレーターを使った小臼歯隣接面のむし歯治療

歯と歯の間を隣接面というのですがそこにむし歯ができてしまった時のダイレクトボンディングです。噛む面(咬合面)にできたむし歯の治療の何倍も何十倍も難易度が高くなります。

不用意に削ると隣の歯に傷を付けてしまいます。傷は汚れの温床なのでそこからむし歯になってしまう確率が高くなります。レジン(プラスチックのような材料)を過不足無く詰めるのは難しく咬合面のようにはみ出したら削って修正するということが部位的に不可能です。歯肉が近いので出血させやすく、また充填に際して絶対に避けなければならない水分を遮断することも容易ではありません。

歯と歯を離解させて削ったり詰めたりするためにはいろいろな器具があります。下の写真がその一部です。これさえ持っていれば全てのケースに対処できる、というような物は無いのでいろいろなタイプを用意しておく必要があります。今回使用しているアイボリー型セパレーターは一番上に写っている鞍状のものです。

上顎小臼歯のレジン治療とDaVinci Resolve SPEED EDITOR

約60分の治療です。治療自体にはなんの変哲も無いのですが動画の編集ソフトをFinalCutProからDaVinci Resolveに変更しました。ソフトを新しくするというより下の写真のこれを使いたかったのです。Blackmagicdesign DaVinci Resolve SPEED EDITORというハードウェアコントロールパネルです。異常に人気で注文してから手元に届くまで2ヶ月以上待ちました。で、これ凄いです!