石灰化した歯髄


歯髄に達するむし歯です。痛みもありますから神経を抜きます。上顎第一大臼歯ですから通常3根です。

 


赤い線は頰側根の歯髄腔ですが、青い円の中の口蓋根の歯髄腔(神経の入っている根の中の空洞)がよく見えません。

 


抜随すると口蓋根管の中からこんな歯髄が出てきました。生活歯髄です。半分石灰化してます。堅いです。

歯髄の石灰化については諸説あるようですが、これは第三象牙質(病的第二象牙質)なのだろうと思います。専門書にはスイスチーズ様の構造を示すと書かれていますが、スイスチーズの構造を知らない(笑)。

この症例ではこれがスポッと抜けてきたので治療がやりにくくなるという程のものでもなかったのですが、これが根管内に残っていると何故か電気根管長測定器が非常に不安定になります。

 

 

生活歯の破折



上顎4番の歯冠破折。


隣接面(歯と歯の間)のむし歯の治療の跡があります。この治療の際にフルクラウン(全体を削って被せる)を選んでいれば破折は防げたのかも知れません。最小の削除とは正反対の治療法です。
隣接面のむし歯は患者さんは気づいていないことが殆どです。それをガリガリ削って被せるわけですから、治療法に同意する方は少ないでしょうね。私も今のところ積極的に奨めるということはしません。但しクラックがある歯の場合は全く話が変わってきます。この症例はクラックがあり、他の歯の歯冠破折の既往がある患者さんに行ったものです。