上顎6番近心頬側根管のフィンの観察

時間が空いた時に抜去歯でトレーニングをするようにしています。
これは上顎6番。近心頬側第2根管らしきものがあるので、穿通を試みますが数ミリしか挿入できません。
外部から根の形態を見ると扁平で1根管のようには思えません。

動画です。

分離した頬側第2根管があればまだ治療可能ですが、このような根管だとかなり難易度は高くなります。根尖病変がある場合は外科的歯内療法が必要になる可能性は高いと思われますが、根形態が頬舌側に幅広いためにその難易度も高くなります。こういう歯は最初の治療で感染させないことが最も重要です。感染のないところに病変はできないからです。

フェネストレーションを歯根端切除術で対処した症例

このケース レッジはクリアして根管充填まで終えたのですが、不快症状は消えません。症状の経過からフェネストレーションの疑いが強くCT撮影を行いました。フェネストレーションの診断はCT無しには不可能です。結果として可能性は濃厚です。根尖に病変らしきものは見当たりません。

数ヶ月の経過観察の後、患者さんの同意を得て外科処置に踏み切りました。根管治療に着手する際には必ず外科処置になる可能性を説明します。なんでも治せると思うような自信家ではありません。
歯肉を剥離するとやはり根尖は骨から露出していました。病変はありませんでした。骨内に収まるところまで根尖をカットして念のためMTAで逆根充しました。フェネストレーションの外科処置は初めてでした。

剥離して根尖をカットするまでの手術の動画はこちらです。外科処置ですので苦手な方はご注意下さい。

一週間後の抜糸の時には、切開した傷に違和感があるもののずいぶん楽になったとのことでした。このまま症状が落ち着いてくれれば、治療で削った部分を(私は一切削っていません)コンポジットレジンで封鎖してひとまず治療は終了です。他院では抜歯もあり得るとの説明を受けたとのことですが、保存することができれば長期的に安定した歯列を維持することが可能です。
通常の根管治療を行った後に治癒しなかった場合の外科処置の治療費は半額に設定しているので、トータルの治療費は前歯二本で25万円程度でした。価値観は様々ですが、これは患者さんにとって歯科的にとてもリターンの大きい投資だったと思います。まだ術後経過が短いので成功の診断を下すのはもう少し先になりますが、ずっと止まっていた時計が動き始めたことは確かなようです。

 

テンピュール・デンタルマットレス

先日、根管治療の患者さんに「長い時間同じ姿勢が続くので、顎は大丈夫だけど腰とか背中が痛くなる」と教えて頂きました。考えてみれば1時間以上全く同じ姿勢を強いるわけですから当たり前です。長ければ2時間やってます。特に根管治療はラバーダムを掛けてから外すまで全く動けない状態で治療しますからこれは問題です。今頃気づくのは遅すぎますね。

「ちゃんとした治療は時間が掛かるから体が痛くなるのは我慢して下さい」と、最終的にはそうせざるを得ませんが、改善策としてNASA御用達のテンピュールのデンタルマットレスなるものを導入しました。取って付けた感バリバリで、もうちょっとデザインなんとかならんもんかいとは思うのですが、寝心地は良いです。寝ないで欲しいんですが(汗)…。寝るほどリラックスして体を預けて下さるのは歯科医としてはとても嬉しいんですが、ここにも書きましたように人間寝ると動くんです(汗)。

追記
「全く腰が痛くなりませんでした」との感想を90分の根管治療の患者さんに頂きました。ヤボな話ですが効果が無いと悲しくなるような価格なので良かったです。