自作マイクロスコープ用ミラー

最近こんなデンタルミラーがあることを知りました。
Yirro-plus self cleaning dental mirror systemというそうです。

 

 

ここからは自慢話です。
実はマイクロスコープ導入時にミラーの水滴をエアーで吹き飛ばす方法を考えて、10年以上前に自作していました。その頃申請すれば特許取れたのかしら?

公開します。

ミラーホルダーに穴を開けて、真鍮のパイプをロウ着します。ハンダ付けでも大丈夫です。写真を見れば一目瞭然でしょうが、ここからエアーを吹き出してミラー表面の水滴を吹き飛ばすのです。出口は少し潰して平らになるようにします。上手くエアーがミラー表面に当たるように後から角度を調整します。

 

こんな感じにハンダ付けします。

 

ハンドルの後端にも穴を開けます。ここにシリコンチューブを繋ぎます。ユニットにきているエアーを取り出して、ここに繋ぐわけです。

モリタのユニットだとこんなのが使えました。ここはなんでも良いのです。要するにコンプレッサーのエアーを取り出せれば良いのです。

エアーは出しっぱなしだとシューシュー煩いですし、エアーを止めてミラー像を見る場合も当然ありますから、簡単にオンオフができないと困ります。電磁弁というものを使います。

電磁弁は通電の有無で弁を開け閉めする機器です。通電のオンオフはこれもなんでも良いのですが、私はフットスイッチを使いました。顕微鏡治療はなるべく両手と頭を動かしたくないので、足で操作できるのは便利です。音声認識ができたらなお便利だと思います。

 

これの右に写っているのがフットスイッチです。これはオルタネイトのタイプですが、必要な時だけシューっとやるならモメンタリーのスイッチも良いかも知れません。因みにこの写真の左のペダルは超音波器具のスイッチです。エンドでの使用には注水のオンオフが頻繁に必要ですので、やはり電磁弁で制御しています。

さて、電磁弁はオンオフはできますがボリュームの調整はできません。エアーが強すぎるので減弱しておく必要があります。調整幅も必要です。

これはアクアリウムに使用するエアーバルブです。このネジで流量を調整することができます。一度調整してしまえば殆ど触ることはありません。ですからユニットの下に隠れていても問題ありません。

青いチューブがコンプレッサー側で、この下の出口にチューブを繋いでミラーに繋ぎます。青いチューブは耐圧チューブです。このバルブは繋げることができるチューブの規格が決まっています。シリコンチューブを繋ぐことができたかは忘れました。たぶん規格が合えば大丈夫なはずです。バルブの下流は圧は強くないので、耐圧チューブである必要はありませんから。耐圧チューブは硬いので、ミラーに直接繋ぐとミラーが動かしづらくなるので使い物になりません。

電磁弁は3000円程度。エアーバルブは500円位かな? 安価に自作可能です。でも現在は全く使用していません。優秀なアシスタントワークと的確なミラーポジションで殆ど不自由を感じることは無いからです。

使ってないから良いのですが、薬事法の問題はあるかもしれません。
超音波スケーラに繋げている電磁弁は、本体の上流側で水のオンオフを制御しているだけですので薬事は関係ないと思います。ただの蛇口ですから。

で、特許申請しておいたら今頃左団扇だったんでしょうか?

 

 

 

マイクロスコープのライトをハロゲンからキセノンへ

マイクロスコープのライトシステムをハロゲンからキセノンにアップグレードしました。
6月から着手した撮影システムとライトシステムの更新がやっと完成しました。
安価なメーカーのマイクロスコープなら2台買える金額になりました(涙)。
ただ、当院の最大の武器はマイクロスコープですから、ここは妥協するわけにはいきません。
God is in the details.
神は細部に宿る。

 

ハロゲンライト
もちろん肉眼で見てこんなに暗いわけではありません。対比のために露出を故意にアンダーにしています。ISO 200 ƒ/14 1/200   90mmです。

 

キセノンライト
上の写真より引いているのに、露出オーバーでハレーションをおこしています。 勿論上の撮影設定と同じ。ISO 200 ƒ/14 1/200   90mmです。光の色も太陽光に近いです。嬉しい。また見えなかったものが見えてくる。マイクロスコープ本体に絞りが付いているのですが、これだけ明るければ常に絞っておけます。被写界深度が深くなります。素晴らしい。


 

なんとメーカー純正のサングラスが付属してきます。アシスタントが眩しくて辛いらしいのです。決してスタッフが強面になったわけではありません(^^;)。


光学系はライティングがとても重要です。明るさは勿論ですが、光軸も同様に大切です。なるべく視軸と光軸が同軸に近い方が良いのです。

下のライトはインプラントのオペ用に導入した無影灯です。

医科用でとても明るく照射野も広いのですが、下の小さなLEDライトに全くかないません。

 

視軸と光軸が近いからです。ライトがないルーペは性能の半分も出ていません。ライトは必須です。
ユニットのライトは必要なくなります。アシスタントワークもずっと軽減されます。

 

そしてこれがマイクロスコープの対物レンズです。白っぽく写っている下の丸いところがライトです。この配置にも光学的な理由があったはずですが忘れちゃいました。

ところでマイクロスコープはランニングコストがほぼゼロです。ライトの電球が切れた時の交換代くらいなのです。たぶんハロゲンライトは数千円です。キセノンの寿命はほぼ500時間なのだそうですが、ランプ交換十数万だそうです。アハハハ。

 

 

 

下顎第一小臼歯2根管

下顎第一小臼歯は通常は1根です。

下の画像は治療途中で当院への転院の方です。根尖をカットしてしまった恥ずかしい術前のレントゲンです(汗)。

 

仮封材を外し汚れを綺麗に取り除くと、ガッタパーチャ、つまり根充済みの根管口の位置が中心から偏位しています。怪しいので更に探っていくと舌側に根管口らしき痕跡を発見しました。

 

ミラー像で解りにくいと思いますが、ファイルを根管に通した画像で、グレーのヘッドのファイルは08です。根尖孔まで到達しました。以前も書きましたが、未処置の根管は治療しやすいのです。これが変に触られた後だと格段に難易度が増します。途中に引っかかりを作ってしまって簡単には根尖まで届かないことが多くなります。

 

根管口を明示したところ。

 

根充前

 

いろんな歯があります。これは矯正のために抜歯した下顎第一小臼歯です。
2根3根管です。