前回の投稿で
>>大雑把に表現すると1ミリのむし歯も5ミリのむし歯も1センチ削ります。
と書きましたが、1ミリのむし歯を1ミリ削って詰めるにはこんな方法があります。
テフロンフロス・ウエッジ+テフロン・トッフルマイヤー
インレイの脱離です。
10年、いや5年前ならともかく少なくとも世界標準ではこれはもうやらない治療方法です。削り過ぎるからです。このケース、こんなに広範囲にむし歯があったわけではなかったはずです。
しかし以前はほぼこの方法しか無かったのでそれは仕方の無いことです。材料にセラミックを使おうが金を使おうが型を採って作るという方法でやる限り削るしかありません。詰めやすいように決まった形に削ります。むし歯の大きさにはあまり関係ありません。大雑把に表現すると1ミリのむし歯も5ミリのむし歯も1センチ削ります。
ところで、すでにインレイ用に削ってしまってあるところにレジンを詰めるのは難易度が高いのです。グレーの部分がレジンで赤い線はその外形ですが、この赤線の長さが長いほど難しくなります。広い曲面を隣の歯と接するように埋めるって難しいのです。
更にこの部分は充填する際にレジンがはみ出したり不足すると後から修正することがほぼ不可能です。そこでいろいろな方法が考えられているわけですね。機材も様々な物が販売されています。当院の機材もここから更に増え続けて倍くらいになっています。理想はどんなケースにも対応できる機材なのですがたぶんそれはなくて、でもそれを探し続けているので結果として増えていくわけですね。
で、ちょっと専門的な話になってしまいますが最近になって見直しているのがトッフルマイヤーリテーナーです。どのくらい昔からあるのかは定かではないですが少なくとも30年前には普通にありました。隣の歯との接触が緩くなる可能性はあるので術前にセパレーティングモジュールを入れておく必要があるかもしれません。
1本の歯に4カ所の充填
幼稚なイラストですが黒丸がむし歯だと思ってください。重要なのはそれぞれが独立して存在しているところです。これを間接法、つまり型をとって模型上で修復物を作って歯に着けるという治療法で行うと下の画像の様に健康な部分も削らなければなりません。黒い部分が削られた部分です。これはデジタルだろうがアナログだろうがセラミックだろうが金属だろうが同じです。一塊の修復物を嵌めてくっつけるわけですからそうせざるを得ないのです。
直接修復はこの縛りを受けません。悪い部分だけ削ってそこを埋めて固めるという修復方法だからです。どちらが優れているというような単純な話ではありません。要は適材適所です。
1本の歯に4カ所の問題があります。治療の介入が必要だと思ったのは銀歯が詰めてある境目のところです。こういった部位のむし歯は一気に深く進行することが多いのです。
奥側と手前のむし歯は静止状態にあるようにも思えたのですが治療に介入する以上、手を付けても良いと判断しました。もう1カ所欠けている部分がありますが、ここは削らずに充填だけ行うことにしました。奥の部位はラバーダム下での治療は色々工夫しましたが断念しました。根管治療の際のラバーダムなら簡単なのですがこういった治療のラバーダムはなかなか難しいのです。頬を排除する為にクランプだけは掛けています。切削音が違うのが解ると思いますが回転では無くて振動で削っています。最小限の切削充填を実現する為には道具は膨大な種類が必要になります。





