パーフォレーション

右下6番の感染根管です。

赤い丸の部分のパーフォレーションが疑われます。

メタルコアを除去すると中心部でパーフォレーションを確認できました。青い丸の中です。

遠心部は歯肉の下までむし歯が広がっていたので、歯肉を電気メスで切除してむし歯を染色して除去していきます。下の写真にはまだうっすらと青く染まった部分が残っています。

取り切れました。

むし歯が除去できたので、ここからは根管治療の準備を始めます。歯の周りに隔壁という堤防のようなものを築いて周辺からの細菌の侵入をブロックし、併せてラバーダムが装着できるようにします。ここからは動画をご覧ください。パーフォレーション部位を洗浄し水酸化カルシウムで一度カバーしました。

治療時間は90分程度でした。

ガッタパーチャを除去して根管洗浄

ガッタパーチャの除去の方法はいろいろありますが、要するに根管の中が綺麗になれば良いのです。ならば効率よく短時間で終えることは重要です。もちろん安全に確実に行うということが優先します。

再治療は前医が上手なほど苦労します。根尖まで緊密に充填された根管の再治療は大変です。それに比べてスカスカに根管の上部だけ根管充填された歯の再治療のなんと楽なことか(チコちゃん風)。

根尖まで緊密に根充するのは大変な作業で、レントゲンを見るとその歯科医の熱意が伝わってくるのですが、そのことに時間と労力を費やすなら根管内に細菌を入れないことに注力した方がずっと効果的なのです。それは徹底的な感染象牙質(むし歯)の除去と隔壁とラバーダムと緊密な仮封です。

パーフォレーションとサイナストラクトのある上顎前歯コンプロマイズド症例の16ヶ月経過

この症例の16ヶ月経過です。

初診時

赤い線で囲まれた部分が病変です。原因はパーフォレーション。

16ヶ月経過

歯根破折の心配は消えませんが、病変はほぼ消えてlamina dura(歯槽硬線)も現れてきています。良好な経過を患者さんに伝えることができた時は晴れやかな気持ちになります。