このケースの続きです。
不快症状は消えました。MB1とMB2の間は必ずイスムスがあります。イスムスはファイルでの処置には限界があるので破折ファイル除去用の極細い超音波チップを使うことが多いです。根管洗浄も重要です。
見過ごされて未処置のMB2は頻繁にあると思いますが、その全てに病変が現れるわけではありません。しかし経験上、上顎大臼歯の病変は近心頬側根に現れることが多いです。MB2の存在が影響していると思っています(文献は探していません)。
福島県いわき市にある自由診療専門の歯科医院です。TEL 0246-36-5960
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不快症状は消えました。MB1とMB2の間は必ずイスムスがあります。イスムスはファイルでの処置には限界があるので破折ファイル除去用の極細い超音波チップを使うことが多いです。根管洗浄も重要です。
見過ごされて未処置のMB2は頻繁にあると思いますが、その全てに病変が現れるわけではありません。しかし経験上、上顎大臼歯の病変は近心頬側根に現れることが多いです。MB2の存在が影響していると思っています(文献は探していません)。
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ファイルの除去が終わったので通常の根管治療を開始しました。遠心根のコアレジンを除去するとなんとパーフォレーションが現れました。CTを分析するとちゃんと見えているのに破折ファイルしか見ていなかったことになります。まさかファイルを折った上にパーフォレーションまでしているとは思いもせず油断していました。初歩的な診断ミスです。典型的な確証バイアスです。結果、この日の治療時間はかなり長くなってしまって患者さんにはご負担をお掛けしてしまいましたが、なんとかMTAでの根管充填まで終わらせることができました。
動画の最初の部分でレジンコアの残りを除去し、パーフォレーション部位が見えてきます。途中は大幅に端折ってMTAのパーフォレーションリペアと根管充填です。
最近こういったエンドの難症例が続いています。職人の特殊技能のような側面が大いにあるのも歯科治療の特色です(笑)。
下顎の7番です。根尖外に破折ファイルが飛び出しているようです。前医は治療は無理との診断だったそうですが、それはそれでごく普通の妥当な診断だと思います。蛇足ですがなんと500キロ以上離れた遠方からのご来院でビックリしたのですが、実家がお近くだということでした。それでも通院が大変であることは間違いありませんから、短期集中でアポイントを取りました。自由診療の患者さんのアポイントは複数回をまとめてお取りしています。一回に90分から120分の枠を取るのでそうしないと予約がスムーズに取れないからです。
先ずは「診断的治療」を行います。根管内を観察して治療可能かどうかを診断する作業で、それはレントゲンだけでは判断できないのです。破折していたり軟化象牙質が広がっていたりすれば、治療しても無駄ですので(時間とお金の無駄づかい)着手しません。
幸い破折などはなく、治療することのメリットデメリットを説明した結果、治療をご希望されました。一日おきのアポを3回。これで根管治療を終えるというのが今回のミッションです。
破折ファイル除去にはCTは必須です。ファイルの長さは5mm程です。
隔壁を作ってある程度洗浄したところです。なんとも変な根管系のように見えましたが赤丸の中は前医が除去し切れていないファイバーポストでした。
除去したところ。
これで破折ファイルの頭が見えてきました。それにしても暴力的に根管を削ってあります。歯の治療は内側も外側も最小限の切削で最大の効果が得られるようにすることが重要です。再治療になることは必ずと言って良いほどあるわけで、その際に残っている歯質の量が多いか少ないかは決定的に予後を左右します。
今回は超音波の振動でファイルが緩んだ後にループを使って除去しています。
このように前に倒れているような歯は反射させるミラーの角度が浅くなりマイクロスコープ下のミラーテクニックが大変難しくなります。当然動画も見づらくなって、私の苦労が偲ばれると思います(笑)。
根管内の破折ファイルは必ず除去しなければならないということはありません。何の異常も無いのにわざわざ除去するのは無意味と言うよりマイナスです。いたずらに不安を煽るようなことは本意ではありませんので書き添えておきます。