治療計画

画像はぼかしてあります。

数本の部分的な治療の際にはここまではしないのですが、全体的な治療になるときちんと資料取りをして説明し、さらにペーパーにしてお渡しするようにしています。なお治療の見積もりはどんな場合でもお渡ししています。

今回のケースでは20枚くらいになりました。画像を多用して解りやすい計画書にまとめるのですが、IOS(口腔内スキャナー)が大活躍します。

殆ど症状の無い銀歯を外してみたら・・・

なんだかこの銀歯が気になるとのことです。特に臨床症状は無くレントゲンではなんとなく怪しいという所見。他の部位も当院でいろいろ治療してきた患者さんで「この際だから外して中を確認したい。必要なら根管治療をやり直したい」ということです。そして外してみるとこんなでした。黒い部分はむし歯でボソボソです。

さらにCTで確認すると病変がありました。

鼻症状はないものの上顎洞もなにやら怪しい。

というわけで感染根管治療のスタート。レジンコアを外すとビタペックスらしい根充がなされていて湿っていました。根管を少し触ってみると漿液性の排膿(しょうえき サラッとした液体)がありました。
無症状の歯の治療はあまり積極的に薦めるようなことはしないのですが(現状の説明はします)、これは患者さんの自己診断が正しかったということですね。慎重すぎるのも考え物だと思いました。

歯の痛みの正体

痛みには「侵害受容器性疼痛」と「神経障害性疼痛」それに「痛覚変調性疼痛」の3種類があります。詳しい説明はここではしませんが、普通の歯科医師が治療出来るのは侵害受容器性疼痛だけです。むし歯で歯が痛いというのは侵害受容器性疼痛です。非歯原性疼痛は侵害受容器性疼痛以外の痛みですので、普通の歯科医師は治すことは出来ません。私も普通の歯科医師なので治療できません。診断ができるだけです。

上の画像の緑の部分が三叉神経節という部位でそこで3本の神経に枝分かれして更にその先で細かく広がっていきます。図の赤い部分です。歯にも繋がっています。この三叉神経節に異常があるとその下位の部位に痛みとして症状が現れることがあります。その場合、歯を治療しても痛みは消えません。治療すべきは三叉神経節だからです。

歯科医が介入出来る侵害受容器性疼痛(歯原性疼痛)でも、当然ですが間違って原因以外の歯を治療しても治りません。患者さん自身がこの歯が痛いと訴えていてもそれが正しいとは限りません。悪い歯を見つけて効果的な治療を選択するのは普通の歯科医師の普通の仕事です。

最近、こんなケースが続いているので書いてみました。治療の前に診断ありきです。